職場復帰支援Q&A:リワークプログラムの利用を復職の条件としてもよいか

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質問:リワークプログラムの利用を復職の条件としてもよいか

メンタルヘルス疾患で休業している人が復職の準備に外部のリワークプログラムを利用することがあります。リワークプログラムの利用をすべての事例で推奨すべきでしょうか? 特に推奨したほうがよい事例はありますか? 会社が、リワークプログラムの修了を復職の条件とすることは適切でしょうか?

回答:リワークプログラムの参加には制約もあるので、復職の条件とする場合には対応に注意が必要

メンタルヘルス不調で休業している従業員の復職支援において、リワークプログラムが有効とされています。このプログラムは、メンタルヘルス不調で休業している人を対象に、医療機関や就労支援機関などで実施されており、毎日、特定の場所に通って一定の活動を行うことで、職場復帰に向けた出社練習、外出練習、心理教育などを行うものです。リワークプログラムに参加すると、復職後の再発を減らす効果があるとの報告もありますが、リワークプログラムを受けた社員と、社内で適切な復職支援を受けた社員とで、復職後の再発率とのあいだで、再発率に大きな差はないという報告もあります。

一般的なリワークプログラムを終了すると「一定期間、毎日、外出練習を行えており、出社を模したリズムで生活できている」という復職のための条件を満たしたことになるため、体力や体調の回復状態を評価することは可能です。ただし、リワークプログラムで実施する就労訓練などは社内の状況とは大きく異なりますし、ストレス対処法などの心理教育が実際の職場でどう活用できるかは、個人の状況によってまちまちです。復職後の再発を減らすためには、リワークプログラムに参加するだけでなく、復職後に適切な業務負荷の調整を行うことが重要になります。

このように、リワークプログラムの効果は限定的です。また、リワークプログラムには、参加に費用がかかる、利用できる地域が限られている、申込みから開始までに時間がかかる、終了まで3~4か月ほどかかる、主治医の変更が必要な場合がある、病気の種類によっては参加できないなどの制限があります。このため、リワークプログラムの参加を復職の必須条件とすることは運用上困難です。

さらに、従業員がリワークプログラムへの参加を希望していないときに、会社が参加を強制すると問題が生じることがあります。特に、本人が主治医から復職可能と診断された後に、会社がリワークプログラムへの参加を指示する場合には対立が生じやすくなります。リワークプログラムの利用を促す場合は、回復の初期段階で、「主治医にリワークプログラムの利用について相談してみてはどうか」と提案するのが適切です。

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