産業医の職場巡視や職場の安全パトロール時に、地震での家具や戸棚の転倒を防ぐための固定について指摘することは重要です。しかし、従業員から「どの家具を固定すべきですか?高さや大きさに基準はあるのですか?」と質問されたとき、きちんと答えられているでしょうか。
そんなときには、消費者庁が2010年に発表した「本棚等の転倒防止策について」の通達を参考にするとよいでしょう。この通達では、家具や什器の「高さ」と「奥行きまたは幅」を用いた、転倒防止固定の基準が示されています(実は職場巡視のときに、ある社員の方から教えていただきました)。
家具の高さを H (cm) 、奥行き(もしくは幅、短い方)を B (cm) としたときに、B ÷ √H ≦ 4のときは家具同士を連結し、さらに床や壁への固定を行う必要がある。
消費者庁「本棚等の転倒防止策について」
B ÷ √H ≦ 4 というのは直感的に計算しにくいので、以下の表を参考にすると理解しやすいと思います。また、実際のオフィスや職場では「高さが ○ cm を超える家具や什器は転倒防止固定を行う。高さが ○ cm 未満でも B ÷ √H ≦ 4 の場合は固定する」というルールのほうが運用しやすいかもしれません。事業所内のルールの検討などについては、総務部のオフィス管理・施設管理の担当者に相談いただければと思います。
地震の転倒防止の目安(表)
- 高さが H cmの場合、幅または奥行きの短いほうが B cm 以下なら固定が必要。
- もしくは、幅または奥行きの短いほうが B cmの場合、高さが H cm 以上なら固定が必要。
H (cm) | B (cm) |
---|---|
80 | 35.8 |
90 | 37.9 |
100 | 40.0 |
110 | 42.0 |
120 | 43.8 |
130 | 45.6 |
140 | 47.3 |
150 | 49.0 |
160 | 50.6 |
170 | 52.2 |
180 | 53.7 |
190 | 55.1 |
200 | 56.6 |
210 | 58.0 |
220 | 59.3 |
B (cm) | H (cm) |
---|---|
20 | 25.0 |
22 | 30.3 |
24 | 36.0 |
26 | 42.3 |
28 | 49.0 |
30 | 56.3 |
32 | 64.0 |
34 | 72.3 |
36 | 81.0 |
38 | 90.3 |
40 | 100.0 |
42 | 110.3 |
44 | 121.0 |
46 | 132.3 |
48 | 144.0 |
50 | 156.3 |
52 | 169.0 |
54 | 182.3 |
56 | 196.0 |
58 | 210.3 |
60 | 225.0 |