質問:産業医・心理職・看護職と面談を行うときの時間と場所について
社員から、就業時間内には離席しにくいので、定時後に、社外で相談したいと言われることがあります。産業医、産業看護職、産業心理職などと面談する際の時間と場所に、何らかのルールを設けたほうがよいでしょうか。
回答:社員との相談対応や面談を行う際には「就業時間内に・事業所内で」行うのが大原則
社内の産業保健スタッフ(産業医・看護職・心理職など)が社員との相談対応を行う場合には、就業時間内に、事業所内の会議室・面談室・健康管理室などで行うようにします。面談する時間帯や場所などの枠組みを守ることは、カウンセリングや面談を成立させるための大原則となります。
クライアント(来談者)の中には、こうしたルールをあえて逸脱させ、自分の思う通りに関係者を操作しようとする人がいます。または、面談への抵抗感や拒否感などから、あえてこうしたルールの枠外の対応を要求する場合もあります。本人の希望に応じて枠組みを超えた対応をすると、要求がエスカレートして本来の対応が難しくなることがあります。つまり、面談を行っても意図した効果を得られなくなったり、本来の目的での面談を行えなくなったりするのです。平たくいうと「本人のわがままばかりに振り回されて、会社として適切な対応ができなく」なります。また、相談者がどんなタイプの人なのかを事前に把握することは困難です。そのため、相手によって対応を変えるのではなく、原則となるルールを設ける必要があります。
社員との相談対応を行う場合には、面談場所や時間帯などについて一定のルールを設け、その範囲内で運用します。つまり、安全衛生の取り組みとして産業医・看護職・心理職などの産業保健スタッフが実施する面談は、「就業時間内に」、「社内の所定の場所で(健康管理室や会議室などで)」、「所定の担当者が(毎回決まった担当者が)」行うことが基本ルールです。こうしたルールや枠組みのことを専門用語では「治療構造」と呼びます。
ただし、会社の都合で、例外的に社外で面談を行うこともあります。例えば、休業中の社員と連絡が取れなくなり、人事担当者などと一緒に自宅を訪問して面談を行う場合や、休業中の社員に人事担当者が退職手続きの説明を行う際に産業看護職の同行を求められた場合などです。また、どうしても就業時間外の面談や社外での面談を希望する場合には、就業時間外や社外でも利用できる外部の相談窓口を案内するようにします。