質問:産業看護職が休業者や復職者の面談にどのくらい関わるべきか
産業看護職は、メンタルヘルス不調で休業している従業員の復職支援の面談にどの程度関わっていけばよいでしょうか。専属産業医がいる場合は、面談などは任せてもよいでしょうか。非常勤の産業医がいる場合はどうでしょうか。
回答:事業所の産業保健体制に応じて役割分担や情報共有の必要性は異なる
事業所の産業保健体制によって必要な情報共有のやり方は異なるため、各職種の役割分担もそれぞれです。事業所のケース対応においては「本人との面談」、「アセスメントと対応計画の作成」、「面談記録の作成と保管」、「人事担当者や管理監督者との情報共有」、「人事担当者や管理監督者への助言」、「産業保健スタッフ・人事担当者・管理監督者のチームワークの維持」、「本人や関係者との連絡窓口」などの手順があります。これらの業務を産業医・産業看護職・勧業心理職・衛生管理者などがどのように分担するのかについては、事業所によってそれぞれです。役割分担によって必要な情報の範囲も異なります。情報共有のやり方も、面談への同席だけでなく、面談記録の書面での確認、面談を担当した産業医からの口頭の申し送りなど、いろいろな方法があるので、最も効率的・効果的に実施できる方法を選択するとよいでしょう。
もっとも時間のかかる情報共有のやり方としては、産業医面談に陪席(同席)するという方法があります。ただし、その場合は、産業医と労働者のやりとりを邪魔しないように、お互いと視線のあわない場所に座っておきます。うなずきなどのリアクションも控えめにし、面談の最中には口を挟まないようにします。何か発現することがある場合は、産業医の了解を取った上で発言するようにしましょう。産業医に申し送っておく情報がある場合には、面談の開始前に伝えておくか、本人の了解をとった上で面談開始直後に伝えておくようにするとよいでしょう。また、面談に陪席した場合にも、必ずあとで面談記録には目を通しておきます。産業医がどのような情報をもとに、どのように判断したのかというアセスメントの内容や、今後の対応計画などは、本人との面談の中だけでは語られないことも多いからです。
非常勤産業医などの場合は、産業医が不在のときの問い合わせや、本人との面談の日程調整などを産業看護職が行うこともあります。面談に陪席しない場合にも、面談終了後に、産業医から直接、今日の面談者に関する申し送りをうけておくようにします。不明な点があればその時に産業医に確認しておきましょう。面談記録に目を通しておくと、産業医の判断の内容や今後の対応方針などをより正確に理解できます。
複数のスタッフがおり、分業が進んでいる職場で、自分が対応しているケースやそれ以外のケース対応についての知識を増やしたい場合には、定期的なケースの相談会を開くよう提案してもよいでしょう。産業医や看護職が、今自分が関わっているケースや、自分に問い合わせがあったケースなどについて、疑問に思っていることを相互に相談するような機会です。産業医が主に面談を進めているケースなどについても「○○さんのケースは、次に、どんな対応をするのですか?」など、疑問に思っていることをたずねてみるとよいでしょう。そうした質疑応答を進めているなかで、事例に対する理解が深まり、より適切な対応につながることもあり、結果的に、事業所のケース対応に役立ちます。