職場復帰支援Q&A:産業医の面談結果について看護職はどこまで答えられるか

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質問:産業医の面談結果に関する人事部からの問い合わせに看護職はどこまで答えられるか

産業医との面談結果や産業医の意見書の内容などについて、人事部や上司から産業看護職に問い合わせをいただくことがあります。産業医の来社は月2回です。そのような場合に、どのようなことに注意して回答するべきでしょうか。また、看護職として従業員と面談をしたり相談を受けたりすることもありますが、それらの内容について人事担当者にどこまで開示してよいでしょうか。

回答:面談で得た情報のうち健康管理のために必要な情報のみを翻訳して職場に伝えるようにする

産業医面談などの健康情報については、(1) 健康診断結果や本人の相談内容などの産業保健スタッフのみが管理する情報と、(2)本人の健康管理のために人事部と上司に共有する情報の2種類があります。面談内容や相談内容などは(1)に該当します。面談などを行った結果、本人の健康管理に役立てるために、つまり、企業が適切に安全配慮義務を果たせるように、人事部や上司などに申し送る情報や産業医の意見書は(2)に該当します。(2)の情報については、人事部や上司に情報共有する目的や情報共用する内容について、本人に説明して同意を取得しておく必要があります。

 (1)と(2)の情報の違いについて説明します。面談で「健康診断の結果、血圧が180/110であった。病院を受診して高血圧の内服治療(薬剤名:○○○)を受けたこともあるが今は中断している。本人は『食事や運動に気をつけようとは思うが、仕事のストレスもあって食べ過ぎてしまう』と話している。食事も不規則で、カロリー摂取も多い。体重は減っていない。残業時間は月20時間未満。」という情報を入手したとします。これは(1)に該当する情報です。ここから、本人の健康管理のために職場が必要とする情報に翻訳したものが(2)になります。例えば「健康診断の結果、血圧が高く、通院治療が必要。また、治療によって値が改善するまでは、深夜業務、車両運転、海外出張などを禁止する必要がある。通院治療の時間がとれるよう、職場では業務のスケジュールの調整などに配慮していただきたい」というような内容です。

 看護職が従業員と相談を受けた内容を上司や人事担当者に申し送る時にも、基本的には上記と同じ考え方です。原則として「意見書など、すでに産業医から上司や人事に共有している内容」については、産業看護職から再度情報を伝達してもかまいません。(1)の情報に触れないように留意しながら、わかりやすく説明を加えたりしてもよいでしょう。うまく説明するためには、産業医が情報を伝える際にどんな言い換えや加工をしているかを参考にします。特に、どの情報を伝えていて、どんな情報を「伝えていないのか」に留意します。本人が話をしていた言葉や、検査結果、治療内容、診断名などを安易に引用しないように気を付けましょう。緊急性がない事例では、面談内容を一度産業医に報告し、申し送り内容を検討してから上司や人事担当者に伝えるとよいでしょう。

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