職場復帰支援Q&A:試し出勤の期間について

      職場復帰支援Q&A:試し出勤の期間について はコメントを受け付けていません

質問:試し出勤の期間について

現在、社内では「2週間の通勤練習の後、2週間の3時間勤務、1ヶ月間の6時間勤務、1〜3ヶ月の所定内勤務」と、徐々に勤務時間を伸ばしていく、段階的な復職プログラムを採用している。その後、産業医の判断で通常勤務に移行している。このような復職プログラムに一般的な目安としてどの程度の期間を設ければよいか、また、運用上、注意すべきことがあるか。

回答:賃金の支払いの対象となる時期を明確にすることと、所定労働時間未満の就業を認める期間を制限すること

試し出勤の制度設計については各社さまざまですが、労務トラブルや病状の悪化のリスクを避けるためには、賃金の支払いの対象となる時期を明確にすること、所定労働時間未満の就労を認める期間を制限することが重要です。

休業からの復職にあたっては大きく「図書館通いや通勤練習などを行う時期」と、「実際に職場に入って業務を行う時期」に大別されます。前者は復職のための自主的な活動であり、一般的には休業中に行われ、賃金の支払いなどは生じません。それに対して、後者は、業務命令を与えて就労させていることとなり、就労扱いとなり、賃金の支払いの対象となります。

上司の指示で業務を行う場合には、(1) 賃金や賞与、交通費など、(2) 通勤途上や業務中の負傷などの取り扱い、(3)休業期間の取り扱いなどについて、事前にルールを定めておくことが必要です。就業規則など社内規程として定めておくか、労働者に書面で説明し、個別に同意を得たうえで実施することが望ましいとされています。

こうした段階的な復職プログラムの過程で、所定労働時間未満の勤務を行う時にも注意が必要です。実際の運用として、「体調の回復の様子をみながら徐々に勤務時間を延長する」という運用になりがちです。中には「4時間勤務はできるが、6時間勤務はまだ難しい」というような状況もあり得ます。そのような状況が長く続くときは、実際には就業できる体調ではないことが多く、そのまま勤務を続けること自体が体調を悪化させてしまいます。所定労働時間未満の勤務を行う際には、あくまでも一時的な措置として、上限となる期間を明確に決めておきましょう。ただし、あまり長期間になりすぎないよう、所定労働時間未満の就労は長くても1か月未満とするのが適切です。期間が過ぎても所定労働時間の就労が困難な場合には自宅療養を継続するものとします。

> 職場復帰支援Q&A 目次に戻る