職場復帰支援Q&A:主治医が診断書に「出社可能」と書いてくれない

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質問:主治医が診断書に「出社可能」と書いてくれない

会社のルールでは、復職時に「出社可能」「復職可能」と明記された診断書の提出が求められます。しかし、ある社員の主治医は「出社可能かどうかを決めるのは会社なので」と言って、「出社可能」という文言の入った診断書を書いてくれません。休職・復職を繰り返している事例なので、産業医も「主治医の見解がわからないと判断できない」と言っており、人事担当者として困っています。

回答:会社側で「この程度まで回復しているか」という基準を決め、主治医にそれを説明した上で判断してもらう

医師にとって診断書の発行は法的な義務であるので、本人から診断書の発行を求められた場合、正当な理由なく断ることはできません。ただし「医学的判断が不可能であるとき」などは診断書の発行を拒否することができます。今回、主治医が診断書の発行に消極的なのは「復職可能とは判断できないような状況であり、患者の求めに応じて復職可能の診断書を書きづらい」のかもしれませんし、実際には通院治療を中断しており「直近の状況がわからないので医学的判断ができない」のかもしれません。いずれも「医学的な判断としての記載が難しい」、「記載の内容に医師としての責任が持てない」と考えているのだと思います。
 復職の判断を主治医に丸投げしている状態では、この問題は解決できないと思われます。このケースでは何度も休職・復職を繰り返しているそうですが、これまで、復職について「主治医がOKと言っているから」、「産業医も主治医の意見を追認しているから」と、判断基準を主治医におまかせしていないでしょうか。
 社内で復職を検討するときに必要な情報について、具体的な質問事項を作り、それを主治医にたずねてみましょう。例えば「このような状態まで回復しているだろうか」,「このような業務ができる体力だろうか」というような点を決めておきます。それを主治医に口頭もしくは文書で説明した上で「このような状態まで回復していれば職場としては復職させたいのですが、このような状態まで回復しているでしょうか。その他、復職にあたって、留意すべき点はありますか」と問い合わせるのがよいと思われます。
 実際に仕事ができるかどうか、業務遂行能力についての判断はできないと言われた場合は、体調や体力、病状の回復の程度に限定して質問します。例えば、「業務負荷を軽減した上で、週5日、1日8時間出社して仕事をしても、体調を崩さない程度まで回復しているでしょうか」、「現場でこのような作業を1日○時間ほど行いますが、体調的に問題ないでしょうか」などと、質問します。
 診断書の書面をもらう前に、主治医と対面で相談できる機会を持てるとよいでしょう。会社の意向や職場の状況について、主治医から質問をうけながら、具体的に説明ができます。また、診断書の文章には現れない詳しい状況や、会社として配慮すべきことなどについても情報を得られるでしょう。

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