質問:復職後の仕事が少ないことに不安を感じる社員に対して
復職後にアサインされる業務が少ないことに不安を感じている社員がいます。復職後の業務内容について復職プランを作成して本人に説明するときのポイントを教えてください。
回答:不安な気持ちを受け止めて話を聴いたあとで、病状の悪化を防ぐための一時的な措置だと説明する
復職後に担当する業務の量が少ないことに不安を感じる、という状況はよく見られます。たとえば、「自分だけ仕事が少なくて、他の社員に迷惑がかかって申し訳ない」と感じている場合などです。また、「仕事が少ない状態が続くと、自分の評価や処遇に影響があるのではないか」と考えている人もいます。そのほかにも、「仕事が少ない状態が続くと、職場の中で自分の存在感がなくなってしまう」、「他の社員から、まだ病気が治っていないと思われてしまう」など、人によって考えていることはさまざまです。
まずは、そうした不安を受け止めることが重要です。復職後の業務が少ないことに心配な様子が見られた場合には、「復職後の仕事が少ないことを心配しているのですか?」とたずね、その思いに耳を傾けましょう。「そう考えてしまうのはよくわかります」と、。不安な気持ちを受け止めていることを伝えます。また、「誰でも復職のときにはそのように感じるものです」と不安を感じるのは自然な反応であることを説明するとよいでしょう。
その上で、仕事を軽減することが病状の悪化や再発を減らすことにつながると説明します。復職する本人は「ふたたび体調が悪化することは避けたい」と思っています。無理をして病気が悪化することは、本人にとっても、職場にとっても望ましくない結果を招きます。本人に説明する際には、「症状が悪化してつらい思いをしないためにも」という健康面についての説明や、「無理をして体調が悪くなると、また仕事がうまくできなくなる」という仕事の場面での説明のほか、「再発して再休職してしまうと、職場にも迷惑がかかる」というような説明のしかたもあります。本人の価値観にあわせた説明方法を心がけましょう。
また、先々の心配をするよりも、「とりあえず」、「まずは最初の1ヶ月」などと、目の前の目標に目を向けさせるとよいでしょう。不安を軽減するには、仕事を減らすのは一時的な措置であり、半年かけて徐々に仕事が増えていくという見通しを示すことが有効です。復職プランを見せながら、「だんだん仕事が増えていく」ことを説明し、まずは目の前の1ヶ月を無事に乗り切ることが大切だと強調しましょう。過去1ヶ月のことを振り返ってもらい、「少しずつだけど順調に回復してきている」ことを伝えてもよいでしょう。
最後に、何か心配なことがあったときに「一緒に考えていこう」という姿勢を伝えることは、復職者への重要なサポートになります。頭ではわかっていても、不安な気持ちがなかなか消えないときに、なんとか説得しようと追い詰めてしまうのは逆効果です。「不安な気持ちが強くなったらいつでも相談してください。一緒に考えていきましょう」、もしくは「次回の通院時に主治医に相談してみましょう」と、社内の産業保健スタッフや主治医など、いつでも相談できる相手がいることを伝えましょう。