前回の記事で紹介したように、ストレスが多いと悩んでいる人は、知らず知らずのうちに「ストレスが多い考え方」をしています。そんなとき、ストレスが小さくなるような他の考え方を思いつくことができれば、ストレス対処にとても効果的です。
ストレスが小さくなる考え方をしてみよう
例えば、前回の「ストレスが多くなる5つの思考パターン」にはそれぞれ次のような対処法があります。
それでは実際に、Aさんのそれぞれの考えについて、ストレスが少なくなるような他の考え方を探してみましょう。
全か無か思考を修正するには、足りないところだけではなく、できているところにも目を向け、0〜100点で考えるようにします。また、自分と相手の責任範囲はそれぞれ何パーセントなのかを考えます。
否定的な考え方に対処するには、その出来事から少し距離を置いて、全体を見るようにします。よく考えれば、失敗ばかりではなく、たまには上司に認められたこともあるでしょう。それはどんな時だったのか、具体的に考えてみます。
次から次へと悪い考えが浮かんできて止まらなくなったら、頭の中で軽くブレーキを踏んでみましょう。そして、何か備えておくことは無いのか具体的な行動を考えます。自分でコントロールできないことには「開き直る」ことも大切です。
周囲の人は、Aさんのことを「ダメ社員だ。今すぐクビにするべきだ。なんて愚かなヤツだ。」と本当に思っているのでしょうか。「本人から聞いたわけでもないのに、証拠もなしに相手の気持ちを決めつけるのはやめよう」と考えましょう。
「べき思考」に対しては、「べき」の部分を「だったらいいなあ」「けれど、時にはそうでないこともあるよなあ」と置き換えます。すると気持ちの余裕が生まれて、他のことや、今後の対策を考えられるようになります。
ストレスが小さくなる5つの考え方を、反復練習で身につけよう
ストレスを感じたときは「ストレスが多くなる考え方」をしていないかどうか、他に「ストレスが小さくなる考え方」があるかどうか、落ち着いて考えてみましょう。紙に書き出す方法が効果的です。最初は難しくても、反復練習を行ううちに、だんだんと合理的な考え方が身につき、以前ほど多くのストレスを感じなくなります。
参考資料として、Aさんが実際に記入した用紙を掲載します (クリックで拡大)。
参考記事
今すぐできる、ストレスの小さくなる考え方(1)
今すぐできる、ストレスの小さくなる考え方(2)
今すぐできる、ストレスの小さくなる考え方(3)
ストレスに負けない仕事術1 (ストレスコーピング基礎編)
ストレスに負けない仕事術2 (ストレスコーピング実践編)
この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。