いろんな社内のプロジェクトを企画するようになって、管理する情報の量が急激に増えてきました。「あの作業はいつまでにやるんだっけ」、「あのプロジェクトはうまく進んでいるだろうか」、「あの情報はどこにしまったっけ」、「何か忘れていることは無いかなあ」と、頭の中も机の上も、だんだん混乱してきました。
そんなとき、「GTD」という言葉を耳にしました。GTDというのは『Getting Things Done』の頭文字です。同名の本 (邦題:「仕事を成し遂げる技術 ~ストレスなく生産性を発揮する方法~」)』の中で紹介されている仕事術が大人気だそうです。「ITmedia Biz.ID:写真でわかるGTD (初回編)」という解説ページを見て、「今の僕に必要なのはこれだ!」と確信し、さっそく実践してみることにしました。
■GTDとは、記憶だけに頼る習慣をやめること
僕が最初に電子手帳を使い始めたとき、ToDoリストに何もかも書き込んでいました。「○○さんの紹介状を明後日までに書く、せっけんを買う、いつか旅行に行きたい、晩ご飯のおかずを買う、CDを返す、お風呂の掃除、○○さんの検査結果を確認する、手紙をポストに入れる、ToDoリストを整理する」などなど。常に数十件の項目が並ぶToDoリストは、もはやToDoリストとしての機能を果たしていませんでした。
ToDoリストや予定表は、チラリと見るだけで、次に何をするのかすぐにわかるべきです。「たくさん書いてあるけれど、どの仕事から行うべきか」「ここに書いていないことで、何か忘れていることは無いか」と心配しているようでは、落ち着いて仕事ができないのです。
GTDとは、記憶だけに頼る習慣を改め、信頼できる情報システムを構築するための仕組みです。GTDで使うのは「ToDoリスト」「予定表」「やりたいことリスト」「受信箱(Inbox)」「ファイルシステム」の5つです。特別な何かを用意する必要は無く、すでに使っている手帳や本棚、ソフトウェアをそのまま利用できます。
■GTDの3つのエッセンス
- 抱えている仕事、やりたいこと、気になっていることを全て書き出し、ToDoリスト・予定表・やりたいことリストに整理し、頭の中を空っぽにする
- この手順を週に1度繰り返して、ツールに最新の情報を反映させ、常に信頼できるものにしておく(週次レビュー)
- 受信箱(Inbox)に入ってきた情報を、信頼できるツールに整理する流れを作る
■GTDで得られるメリット
- 信頼できる情報システムを持ち、全て管理できているという安心感
- 手帳にある直近の仕事をこなせば、全てうまく行くという安心感
- 頭の中が空っぽになるので、目の前に仕事に集中でき、より生産的に時間を使える
■やってみようGTD! (お買い物編)
「何かをはじめるときはまずカタチから」というのが僕の揺るぎないポリシーです。これまで紙の書類をうまく管理するシステムを持っていなかったので、本著のすすめにしたがって、フォルダとラベルプリンタを使って50音順に整理することにしました。
フォルダを使って50音順に整理(左: 会社、右: 自宅)
左: CASIOのラベルプリンタ(3600円)を自宅用と職場用に2台購入
右: 自宅の書類整理用にワゴンを購入(Garage)
■やってみようGTD! (情報の流れを整理)
GTDの極意は、ちょっとした思いつきメモや、電子メール、郵便、仕事の書類など、全ての情報を受信箱(Inbox)経由で整理し、週次レビューで確実にチェックすることです。僕の場合、次のようにしてみました。
すべての情報を受信箱に集め、週次レビューで確実にチェックする仕組み
紙の書類やメモは、どんな小さなものでもすべて受信箱に入れます。これまでは主に大学ノートを使っていましたが、ページがバラバラに切り離せるルーズリーフやリーガルパッドを使うようにしました。W-ZERO3やOutlook、OneNoteなどはPC上の受信箱として扱い、週次レビューで中身を見直します。
ToDoリストと予定表には、これまで通りOutlookとW-ZERO3を使っています。ToDoリストの項目には必ず開始日を入力して、直近のタスクのみが表示されるようにしました。次にやるべき行動が具体的に決まっていないその他の項目は、「いつかやるリスト」としてToDoとは別に管理しています。
机の上の書類トレイと、カバンの中のクリアファイルを「受信箱」として使う
■GTDの3つの効果
まず、手帳(W-ZERO3)を見る回数が増えました。ToDoリストには、その日にやるべきことだけが明確に表示されています。「何か忘れていないだろうか」と心配することもなく、安心して仕事ができます。
また、メモを取る回数も増えました。頭の中が空っぽになったので、いろんなアイディアが次々と浮かんできます。以前は、メモを取った紙をなくしたり、メモを取ったことすら忘れたりしていましたが、受信箱に入れておけば必ず回収されるGTDのシステムのおかげで、安心してメモを残せるようになりました。
その結果、スケジュール通りに仕事がこなせるだけではなく、いろいろなアイディアをプロジェクトに反映させることで、仕事の質を向上させることもできました。また、プライベートの予定を立てたり、用事をすませたりできるようにもなってくると、「仕事に振り回されている」というあせりの気持ちが消え、「仕事をうまくコントロールできている」という余裕も生まれてきました。
GTDは気分が大事! できるビジネスマンっぽい「リーガルパッド」も買ってみたよ
■今日から始めるGTD
GTDは、特別なツールを必要としません。これまでの仕事のやり方や生活スタイルを変える必要もありません。だからこそ、他の人にもお勧めしやすい方法だと思います。興味を持たれた方は、ぜひ「ITmedia Biz.ID:写真でわかるGTD (初回編)」などを参考にして、自分の仕事の進め方をよりGTDなものにしてみてはいかがでしょうか。