質問:フレックス勤務や在宅勤務を希望しているが、そうした制度が利用できない場合の対応
復職時にフレックス勤務や在宅勤務の利用を希望している社員がいるが、そうした制度が利用できない場合(社内にそうしたルールがない、その部署・職種では適応されない場合など)、どう対応すれば良いでしょうか。
回答:社内制度にない運用はできないが、社員のニーズの背景や理由を聞き取り、実施可能な代替案を検討する
前提として、社内の制度や労働契約にない運用をする必要はありません。ただし、従業員のニーズを聞き取り、それに対応できるような代替案を考えることが重要です。
社員の要望やニーズを真剣に受け止め、その背景や理由について詳しく聞き取りましょう。フレックス勤務や在宅勤務を希望する理由を理解することが重要です。その上で、実施可能な代替案を、産業医・上司・人事担当者を交えて一緒に考えましょう。
例えば「いきなりフルタイム勤務は自信がないので、短い時間から勤務したい」というような理由であれば、休業中に出社練習(外出練習や通勤練習)にしっかり取り組んでもらい、十分に体を慣らしてから復職してもらうとよいでしょう。フレックス勤務や在宅勤務の利用に関わらず、十分に体力や生活リズムが回復していない状況で復職すると、再発のリスクが高まります。メンタルヘルス不調の場合は、フルタイム勤務を模した外出練習が、週5日間、2週間以上続けられるようになってから復職するのが適切です。
また、月曜日から復職するのではなく、水曜日や木曜日など、週の後半から復職するという方法もあります。2~3日勤務したところで週末になり体を休めることができるので、心理的・体力的なハードルを下げることができます。
または、復職後の業務計画(復職プラン)を本人に十分に説明することで、復職に対する不安を緩和できるかもしれません。メンタルヘルス不調の場合は、復職後は業務負荷を軽減し、その後6ヶ月程度かけて段階的に元に戻していくような計画を作ります。本人の意見を聞いた上で計画を作ることで、より納得できるものになるでしょう。
また、社員から聞き取ったニーズをきっかけに、今後の復職支援の制度や仕組みを整備することもできます。例えば、復職1週間目は半日勤務、2週間目はコアタイム勤務、3週間目からフルタイム勤務とするような、段階的な「試し出勤制度」を設けている会社や、在宅勤務制度、フレックス勤務制度、短時間勤務制度などを、期間を決めて一時的に運用できるようにしている会社もあります。