質問:新型コロナウィルス対策で外出を自粛しているときの出社練習
これまでメンタルヘルス不調で休業している人に対しては、図書館などに通うようにアドバイスして、外出がきちんとできるかどうかを生活記録表で確認して復職の判断を行ってきました。新型コロナウィルス感染症の流行により、外出を控えている場合の復職のための練習や復職の判断はどのように行えばよいでしょうか。
回答:集中を要する作業を行ってもらう + 決まった時刻のウォーキングなどを行ってもらう
生活記録表を用いて復職の可否を判断するときには、次のような基準を用いることが一般的です。
- 平日は毎日、出勤に間に合う時間に起床できる
- 平日は毎日、9時〜15時ごろまで図書館などに外出できる
- このような生活が2週間以上、安定して続けられる
こうした基準を設けて、復職に必要な次のようなことを判断しています。
- 勤務が続けられるような睡眠リズムが保てていること
- 外出などを毎日行っても、疲れがたまらないような生活リズム・睡眠リズムが保てていること
- 決まった時間に決まった行動を繰り返し行える生活リズムになっていること
- 毎日外出できるくらいに体力が回復していること
- 午前中から活動的に過ごせるくらいに、体力が回復していること
- 図書館などで一定時間過ごせるくらいに、集中力が回復していること
- こうした活動を2週間以上続けても、疲れがたまりすぎず、体調が安定していること
つまり、新型コロナウィルスの影響で外出を控えている時期でも、上記のようなことを確認できるような生活を行ってもらえばよいと考えられます。例えば、次のような基準を設けるのはいかがでしょうか。
- 平日は毎日、出勤に間に合う時刻に起床できる
- 平日は毎日、9〜15時頃までは、ある程度の集中力を要する作業を行える
- 平日は毎日、決まった時刻に20〜30分ほど外出してウォーキングをする
- このような生活が2週間以上、安定して続けられる
ここでひとつ、注意したいことがあります。それは、病気で休業している社員に業務を命じてはいけない、という点です。つまり、「ある程度の集中力を要する作業」の内容について、会社や上司から細かい指示を出したり、その成果物を上司に提出させたりしないようにします。
作業の内容としては、読書をする、自分が勉強したいことを学ぶ、新聞を読む、PC作業をするなど、どんな作業でもいいので、本人が考えて、自分で計画をたててもらうようにします。仕事に関係することでも、仕事と無関係のことでもかまいません。ただし、ゲームや漫画、ドラマや映画など、娯楽の活動ばかりを行うのはおすすめできません。もちろん、疲れがたまらないよう、適宜、休憩をはさむことも忘れないでください。復職支援の面談を行う際はこのような点をよく説明し、復職に向けた活動について、本人がうまく計画をたてられるようサポートしてください。