質問:長期療養を繰り返す社員の復職支援
長期療養を繰り返す社員がいるとき、復職支援において注意すべきことを教えてください。
回答:長期療養を繰り返す背景にどんな要因があるかを考える + 残り日数などを人事部と共有しながら対応する
長期療養を繰り返す社員がいるときには、長期療養を繰り返してしまう原因をアセスメントすることが必要です。そのためには、本人の病気の種類だけでなく、生活リズムや職場の状況、体調をくずしたころの出来事などを本人に繰り返しヒアリングします。その上で、原因に応じた対策をとります。さらに、社内の休業ルールに照らしあわせた対応も必要となるため、人事担当者と休業可能な日数の残りや勤怠の状況などの情報を共有しながら対応をすすめます。
双極性障害や双極性障害などの病気の場合は、服薬や治療が不適切だと再発しやすく、長期療養を繰り返してしまうことがあります。服薬や治療を適切に続けることの重要性を本人に繰り返し伝え、また、復職後も定期的に産業医等と面談を行い、服薬状況や通院状況を確認するようにします。
または、本人の体調管理に問題があり、病気が再発していることもあります。例えば、体調がよいからといって仕事をやりすぎてしまったり、つい夜更かしをして睡眠リズムを崩してしまったりすることがあります。このような状況がないかどうか本人に質問するときには、具体的な退社時刻や就寝時刻などを確認するようにしましょう。本人にはその自覚がなくても、客観的なデータや記録を参考にすると振り返りやすくなります。復職後も生活記録表への記入を続けてもらうなど、セルフモニタリングを継続することが体調管理に役立つこともあります。
女性の場合は月経周期や、月経前後の体調不良などと体調不良や勤怠不良が関連している場合もあります。必要に応じて婦人科を受診するようにすすめましょう。婦人科で治療をはじめると、体調や勤怠が安定してくるケースもあります。
また、本人が苦手に感じる場面やストレスを感じる状況が職場やプライベートの場面で繰り返されている場合に、体調をくずすことがあります。ストレスを感じた時の対処法や、そうした場面にうまく対応する方法などを産業医面談などで振り返るとよいでしょう。カウンセリングなど専門的な対応が必要かどうかについては、本人から主治医に相談してもらってもよいでしょう。
長期療養を繰り返す事例の中には、体調を崩すきっかけや、ストレスを感じる状況について本人があまり自覚していないという場合もあります。また、微熱や頭痛、軽い腹痛などで会社を休んでしまい、会社を休んでしまったことによる罪悪感などから、ますます出社できなくなるケースもあります。このように「ちょっとした体調不良で会社を休んでしまうと、会社に来づらくなり、続けてずるずると休んでしまう」場合には、「ちょっとした体調不良ならがんばって会社に来てみる」という働きかけが効果的な場合もあります。
さらに、長期療養を繰り返す事例の中には、上司が「出社が安定しないので、仕事を与えづらい」と考えて、軽い業務や、いつ休んでも周囲にあまり影響のない業務しか担当していない場合もあります。そのような時に、本人が「職場から期待されていない」とストレスを感じたり、「自分が休んでも職場には影響はない」と考えて休むことへの抵抗感がなくなっていることもあります。
長期や短期の休業を繰り返す事例では、休職期間の残日数や年次有給休暇の残日数などを、人事担当者に把握してもらうことも重要です。それぞれの日数が少なくなったときに、社内でどのように対応するのか、あらかじめ決めておくとスムーズに対応を進めることができます。また人事担当者から「日数がなくなるとこういう取り扱いとなります」と本人や上司に通知することで、体調管理などにきちんと向き合うきっかけとなる事例もあります。