質問:休むことに了承しない社員への対応
以前にも休職歴がある社員の勤怠が最近不安定です。産業医・上司・人事からも「体調を回復させるため、もう一度、自宅療養をしてはどうか」と進めているのですが、本人は「以前、長期休業したときに、とてもつらかった。またあんなつらい思いをしたくない。何とかがんばりたい」といって、なかなか休むことに了承しません。どのように対応すればよいでしょうか。
回答:「体調の回復のために受診してほしい」という路線から「会社を休んで通院を継続しなさい」まで、徐々に対応を切り替える
「病院に行くと、会社を休まなければいけない」と思い込んでいる場合には、なかなか病院を受診しない場合があります。産業保健スタッフや会社の強いすすめで、しぶしぶ受診をするかもしれませんが、投薬治療につながらなかったり、通院の継続につながらなかったりすることもあります。
受診をうながすには、本人の「受診に対する不安や心配ごと」によりそう姿勢が大切です。本人の訴えを傾聴し、受診をしたくない気持ちを受け止め、その理由についても話してもらいます。この事例では「病院を受診すると、また長期休業になるかもしれず、不安だ」という気持ちがあるようです。まずはその気持ちを否定せずに受け止め、「どうしていくか、一緒に考えていきましょう」とサポートする姿勢を示します。
その上で、「休むかどうかはともかくとして、つらい症状をなんとかするためにも、病院に受診してみませんか」とアプローチします。「つらい症状や体調を改善したい」というニーズは、本人も感じています。上司や人事担当者からも「体調が悪いままだと心配なので、病院を受診してほしい」と、同様のメッセージを伝えてもらうとさらに効果的です。
こうした対応に効果がなければ、病院の受診や自宅療養を指示する対応に切り替えていきます。例えば、「今のままの体調では仕事にも支障が出ているので、会社として安全配慮義務を果たすためには、このままの状態で仕事をさせるわけにはいかない」と説明し、「病院を受診して、体調が回復するまで仕事を休んで治療に専念しなさい」という指示を行います。
最終的には、就業規則に基づいて受診を指示したり、休職を発令したりすることになります。「まず、主治医に相談して、それから休職について判断する」という対応だと、本人が病院を受診しない限り先にすすめません。本人の健康状態や就労状況を見て、「まず、会社が休職命令を出して、その後で病院を受診させる」という方法を取らざるをえないこともあります。