7. 社員が気軽に相談できる職場づくり:相談窓口の整備と管理職研修

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どれだけ健康管理の仕組みが整っていても、社員に活用されなければ意味がありません。その第一歩は、社員や管理職が気軽に相談できる環境を作ることです。本記事では、社員の健康を守るために必要な取り組みと具体的な方法について解説します。

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事例:相談窓口が利用されなかったAさんのケース

ある企業で30代の社員Aさんが体調不良に悩んでいました。数か月にわたり業務に集中できず、気力も低下していましたが、どこに相談すればよいのかわからず、一人で抱え込んでいました。また、社内に産業医がいることや、その役割についても知らなかったため、「会社に相談すると評価が下がったり、不利益を被るのではないか」という不安を抱えていました。

その結果、Aさんはさらに体調を崩し、最終的には休職に至りました。後にAさんはこう振り返ります。「相談窓口があることをもっと早く知っていれば、ここまで悪化する前に手を打てたかもしれません」

このような事例は、多くの職場で起こり得る問題です。社員が安心して相談できる環境を整えることの重要さを、改めて考えさせられます。


健康管理の第一歩は「相談」から

社員の健康管理の仕組みは、①産業医面談、②産業医の意見書の発行、③就業上の措置の実施、④フォローアップの順番で進んでいきます。この仕組みを効果的に機能させるためには、社員や管理職からの適切なタイミングでの相談が重要です。社員が安心して相談できる環境を整えることは、健康管理の仕組みを動かす起点であり、その後の取り組み全体を支える基盤となります。

社員の健康管理の基本的な仕組み

1. 相談窓口の整備と情報周知

社員が健康問題を抱えたとき、誰にどう相談すれば良いのかを明確にすることが、早期対応の鍵です。そのためには、社内に相談窓口を設置し、その利用方法を整理して社員に周知する必要があります。

周知すべき内容

以下のポイントを整理して明確に伝えましょう。

  • 相談窓口の担当者:産業医、産業看護職、衛生管理者など
  • 申し込み方法:メール、電話、オンラインフォームなど
  • 対応できる相談:健康、病気、病院の受診、職場のストレス、対人関係、家族に関する相談など、幅広く相談を受け付ける
  • 対応可能な時間帯や場所:産業医の出務時間、面談場所を記載
  • プライバシー保護:相談内容は守秘義務に基づき厳重に管理されることを強調

相談窓口を整備し、産業医の役割や相談窓口の利用方法などを労働者に周知することは、労働安全衛生法で企業が取り組むべき義務と規定されています。また、プライバシー保護について詳しく説明することで、社員が相談しやすい環境を作ることができます。

相談の枠組み(ルール)の重要性

相談の時間や場所に関する基本を明確にしておくことが重要です。原則として、就業時間内に社内の所定の場所で相談を行います。就業時間外や社外での相談を希望する社員がいたときに、ルールを超えた対応を行なうと、要求がどんどんエスカレートしていき、対応が困難になるケースもあります。こうした事態を防ぐためにも、最初からルールの範囲内での対応を行いましょう。

効果的な情報周知の工夫

相談窓口の存在や利用方法を知ってもらうには、次の手段が有効です:

  • 社内メールや掲示板、イントラネットでの告知
  • 健康イベントやセミナーでの案内
  • 他の安全衛生関連の案内文書への記載

これらの案内は一度きりではなく、定期的に発信することが大切です。社員が体調不良のとき、ホームページで情報を探すのは負担が大きいため、「最近のメールや掲示板に必ず情報がある」という状態を維持しましょう。これにより、社員が必要なときに相談窓口の情報をすぐに見つけられる環境が整います。


2. 管理職向け研修の重要性

社員の健康問題に早期に対応するためには、管理職が部下の健康状態に気付き、適切に対応することが重要です。

管理職研修の内容

以下の内容を含む管理職研修を、定期的に実施しましょう:

  1. 部下の健康状態の変化を察知する方法:遅刻や欠勤の増加、業務のパフォーマンス低下など「いつもと違う」変化のサインに気付く
  2. 声をかけるタイミングと方法:「最近いつもと様子が違うけど、どうしたの?」といったオープンな質問をして、部下の話を傾聴する
  3. 産業医面談へのつなげ方:健康上の懸念がある場合や、管理職では判断に迷う場合には、適切に産業医につなげるスキルを習得

これらの研修内容や資料については、筆者のブログでも公開していますので、ぜひご活用ください。

>>> 参考:管理監督者むけメンタルヘルス研修マニュアル
>>> 参考:管理監督者向け メンタルヘルス研修 eラーニング用コンテンツ


まとめ:相談窓口の案内を繰り返し行おう

社員が健康問題を抱えた際に、すぐに相談できる環境を整えることが、社内の健康管理の仕組みを有効に機能させる第一歩です。相談窓口の周知や管理職研修を継続的に行い、社員が安心して働ける職場環境を目指しましょう。

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