質問:就業制限について本人・職場の理解が得られない場合
健康管理のために、残業制限を実施しようとしたとき、上司(職場)から「そんなに仕事をさせていない」と苦情が来たことがありました。また、本人もそれを聞いて「職場の上司に理解してもらえないのなら、制限を解除してほしい」と訴えてきます。どう対応すべきだったでしょうか。
回答:上司や人事担当者に就業制限の目的や必要性について理解してもらうことが重要
健康を確保するために産業医から残業制限などについて就業上の意見を述べる際には、いくつか留意すべき点があります。ひとつめは、その目的や必要性を上司や人事担当者に説明して理解してもらうことです。できれば、就業条の意見を書面で述べる前に、対面で説明する機会を持っておくとよいでしょう。職場での本人の勤務状況や、上司から見た職場での問題点などについてもヒアリングできるため、より適切な対応ができることもあります。ふたつめは、職場で実施可能な就業制限とすることです。こちらも、業務内容や本人の業務状況を上司などから聞き取っておくとよいでしょう。上司に納得してもらうことができれば、質問にあるような事態にも対応できると思われます。
実際にはその業務を実施していない労働者に、あえて就業制限をかけておくこともあります。たとえば、血圧が著しく高い社員については「時間外労働○時間以内、夜勤禁止、海外赴任禁止、車両運転禁止、高所作業禁止」などと一律に就業制限をかける、という運用もあり得ます。こちらも、実施にあたっては、前もって上司や人事担当者の理解を得ておくとよいでしょう。