質問:復職の意欲のない事例について
休業中の社員がなかなか復帰しようとしません。復職に向けて意欲を出させる方法はありますか。
回答:復職に対する不安が強い場合、計画的に行動するのが苦手な場合、復職しない状態に甘んじている場合などのそれぞれの場合に応じた対応をとる
復職への意欲がなかなか出ない事例については、次の3つのような場合が考えられます。それぞれの場合に応じた対応を検討します。
(1) 復職に対する不安や心配があり、不安に直面化するのを避けるために回避している場合。復職することに不安や心配を感じており、それらに対応しなくてはならない状況を避けたい気持ちがあります。そういう気持ちが強いと、復職が近づくと体調を崩してしまい、なかなか復職の準備が進まないことがあります。また、本人はそうした不安や課題に気づいていない場合もあります。対策としては、休業中に定期的に面談を行い、復職についての不安や自信のなさについてじっくりと話を聞きながら、復職に向けて具体的な取り組みについて計画をたてられるようにサポートするとよいでしょう。
(2) 順序よく計画をたてて行動するのが苦手な場合。「まずAをして、次にBをして…」という計画をたてるのが苦手な場合には、復職に向けた計画づくりがなかなか進まないことがあります。例えば、「外に出る練習をしてみましょう」と話をしても、「朝、なかなか外に出られなかったので、今月は外出していない」などという状況が続いてしまうことがあります。対策としては、少し時間はかかりますが、面談の場面で「Aをやってみて、うまくいかなかったら、次はBをやってみましょう」と、1つずつ丁寧に指示を出すか、スモールステップで取り組みを進めていくなどの工夫が有効です。
(3) 復職しない状態に甘んじてしまっている場合。(1)や(2)の特徴に加えて、「休職満了まであと1年以上あるし、傷病手当金ももらえているし、特に困っている状況ではないので、焦って復職する必要はない」という状況におちいっている事例もあります。また、本人はそのことを自覚している場合もあれば、あまり自覚していないこともあります。このような場合、復職に向けた動機づけを行うのは困難です。対策としては、「休職満了まであと○ヶ月で、復職するためには、○月頃からはこういう取り組みをすることが必要で、○月ごろには復職可能の診断書を入手しておく必要がある」などと、スケジュールを意識した対応を進めていきます。ただし、休職満了という目に見えてわかる締切りが近づいてこない限り、復職への取り組みが進まないこともあります。