職場復帰支援Q&A:主治医と話をするときに注意すること

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質問:主治医と話をするときに注意すること

休職中の社員の主治医から「産業医や会社の担当者と相談したい」と連絡がありました。これまで、診断書や診療情報提供書などでの関わりはあっても、直接、連絡をとったことはありません。会社が主治医と連絡を取る際に、どのような点に注意して対応するべきでしょうか。

回答:立ち位置の差があるので、復職をサポートする姿勢を前提としながらも、その場で結論を出さないように対応する

主治医と直接話しをするときのポイントは「主治医から提供された情報は(反論せずに)聞いて帰る」、「会社での本人の様子や言動をなるべく客観的に伝える」、「復職をサポートする前提で、心配していることを主治医に伝える」、「主治医から要請されたことについてはその場で決断せず持ち帰って検討する」ことなどです。

まず、主治医はこれまで本人の話しか聞いておらず、会社の事実認識と異なっていることがあります。そのため、主治医からの情報提供が「会社が把握している情報と異なる」と感じられても、まずは、反論せずに情報を受け取りましょう。

その上で、「実は、会社ではこのような言動があり、どのように対応すればよいか困っている」というような情報を、なるべく事実に基づいて客観的に伝えましょう。例えば「自分勝手な行動が目立つ」という言い方ではなく、「自分と相手の認識が違っていたときに、相手のほうがが間違っているのだとひどく批判する」などと伝えるようにします。会社での本人の言動などは、診断や見立てに大いに役立ちます。

また、主治医に対しては復職をサポートすることが伝わるようにこころがけます。例えば、「・・・のことで困っています」とか「・・・ができるでしょうか」と会社から主治医に相談したとします。このとき、会社として特に他意はなくても、それを聞いた主治医は「その問題が改善されるまで復職させたくないんだな」とか、「それができるようになるまで、復職させたくないんだな」などと受け止めることがあり、復職に対して後ろ向きな印象を与えることがあります。

そこで、「・・・のことで困っているんですが、復職にあたって、どのような配慮や工夫が必要になるでしょうか」とか、「・・・ができるでしょうか。復職後、徐々に・・・ができるようになるためには、どのような工夫をすればよいでしょうか」というように、「〜のためには、職場でどのような工夫が必要か」と、本人の復職を前提とした質問をするとよいでしょう。復職を前提としてサポートしようとする姿勢が主治医にも伝わると、対応について一緒に考えてくれるようになります。

さらに、主治医から「復職時にはこのような調整が必要である」、「こうした調整をしてほしい」などという要請を受けることがあります。その場でどうしようか迷っていると、復職に後ろ向きなのではと誤解されることもありますし、すぐに決められないことも多いでしょう。その場で決断することはせず、「いただいた情報を参考に、持ち帰って社内で検討します」と対応しましょう。社内で検討するときに必要な情報について「そうした調整が必要なのはなぜか」、「具体的にはどうすればよいか」と、掘り下げた質問をすることも大切です。

その他、個人情報の取り扱いについては、「主治医が会社に提供する情報」について、主治医側が患者の同意を取得する必要があります。今回、会社は情報の提供を受ける立場ですので、情報開示の同意取得について特に対応すべきことはありません。

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