休職している社員にむけて職場復帰の解説本を出した理由

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先日、出版の手続きを行った『うつ病・メンタルヘルス不調 職場復帰サポートブック』の試し刷りが届きました。現物を手に取ると何だか感慨深いものです。今回はこの本を書こうと思った理由についてお話ししたいと思います。

担当者向けの書籍やセミナーに限界を感じた理由

うつ病など、メンタルヘルス不調で休職する方の職場復帰支援のために、国は2004年に「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を出しています。しかし、今もなお、復職支援がうまく進まないと悩んでいる企業がたくさんあります。

私はこれまで、産業医として多くの事業所で従業員の復職支援を手がけ、社内のしくみ作りを成功させてきました。そのノウハウを、何とか世の中に役立てたいと、論文を書いたり、担当者向けの書籍を発行したり、雑誌に寄稿したり、セミナーを開いたり、社内で使えるマニュアルを公開したり、YouTube動画を公開したりしましたが、それだけでは、どうも不十分な気がしてなりませんでした。

というのも、セミナーに参加してくれる人の数は1度に30~50人程度しかいません。書籍を手に取ってくれる人の数を合わせても、日本全国からするとごくわずかな人数です。これに対して、うつ病などで会社を休職する人の数は、少なく見積もっても年間約20万人とも言われており、まったく追いついていません。

一番困っている「本人」をサポートするには

自分が持っているノウハウを、もっと広く役立ててもらうにはどうすればよいか、いろいろ検討した結果「休職している本人をサポートする」というアイディアに至りました。おそらく「復職」について誰よりも困っているのは、休職している本人のはずです。その本人に、この『うつ病・メンタルヘルス不調 職場復帰サポートブック』を手にとってもらえれば、自分自身の職場復帰のために、きっと役立ててくれるだろうと考えたのです。

本書のコンセプトは「まるで復職支援の専門家がずっとついていて、サポートしてくれているような本」です。休職開始から復職までのそれぞれの場面ごとに、ご本人に必要な情報だけでなく、会社の担当者に必要な情報、主治医に相談しておきたいことなどを紹介してます。

また「本人向け」の冊子なので、本人と担当者が、いっしょに本書を眺めながら相談することもできます。現在やるべきことや、今後の見通しなどを共有できれば、会社への信頼感や復職への安心感も増すはずです。休職開始から復職後のフォローアップまで、数ヶ月~約1年の間、ずっとあなたのそばに寄り添ってくれる本です。

Amazonでの取り扱いが始まりました

ついにAmazonで『うつ病・メンタルヘルス不調 職場復帰サポートブック』の取り扱いが始まりました。無料のサンプル版もありますので、まず内容を見てみたいという方はこちらをご覧いただければと思います。Kindleで読める電子書籍版もあります。みなさんの近くに、この本を必要としている方がいらっしゃれば、ぜひご紹介いただきたいと思います。