復職後が不安な方へ|無理せず働き続けるための「復職プラン(職場復帰支援プラン)」の作り方 〜段階的に慣らすことで、復職後も安定して働ける〜

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こんにちは。産業医の難波です。
この記事では、うつ病などで休職されている方やそのご家族、職場の人事担当者・上司の方に向けて、復職後の業務調整について、具体的なヒントをお伝えしします。

「復職できるかも……」その前に

体調が回復してくると「もうすぐ職場に戻れそう」と感じる一方で、「ちゃんと働けるかな?」「無理せず続けられるかな?」と不安になることもあります。

実際、「元のように働かなくちゃ」とがんばりすぎて、復職後に体調を崩してしまう方も少なくありません。

復職後の最初の1〜3ヶ月は、体力や集中力が完全には戻りきっていないことが多く、再発しやすい大事な時期です。だからこそ「無理なく仕事を再開するための業務計画 = 復職プラン(職場復帰支援プラン)」がとても大切です。

「職場復帰サポートブック」より

復職プラン(職場復帰支援プラン)を作って無理なく慣らす

復職にあたっては、「どのように段階的に仕事に戻っていくか」をあらかじめ共有・調整しておくと安心です。以下はその一例です。

復職プランの一般的な例

  • 最初の1〜2週間:書類整理、資料確認など、負担の少ない業務を中心に
  • 1〜2ヶ月後:業務量や業務範囲を広げていく。残業はなし。
  • 3〜6ヶ月かけて:徐々に通常業務に移行。対人折衝や判断を伴う業務は後半から。

このような計画をあらかじめ作成しておき、復職後も産業医や上司と定期的に面談をしながら、調整していきます。個人差はありますが、3〜6ヶ月かけて、ゆるやかに、段階的に戻していくのがポイントです。

「職場復帰サポートブック」より

実例の紹介:営業職のAさん

4ヶ月間の休職後、復職した営業職のAさんは、上司と相談の上、次のような復職プランを立てました。

  • 1ヶ月目:まずは内勤中心。自分のペースでできる簡単な業務から。
  • 2〜3ヶ月目:他の担当者のサポート中心。上司や同僚との同行業務を週1〜2回実施して現場感覚を取り戻す。
  • 4ヶ月目以降:サポート業務を続けながら、外出の頻度を増やし、単独訪問も開始。
  • 6ヶ月目以降:担当顧客を持ち、営業職としての通常業務を再開。

このように、段階的に「少しずつ戻す」ことが、安定した職場復帰につながります。

復職プラン(職場復帰支援プラン)を作るときのポイント

(1) 主治医のアドバイスを診断書に反映

復職にあたって主治医に相談するときに、「復職後の注意点」や「業務で配慮すべき点」も聞いておきましょう。

そのうえで「復職直後は軽めの業務から」、「対人業務は段階的に」、「3ヶ月かけて通常業務に戻す」といった内容を診断書に書いてもらえると、会社側も調整しやすくなります。また、社内で復職プランを立てる時に使うシートもご用意しています。

(2) 会社への伝え方を工夫しよう

会社に復職後の業務調整を相談するときは「お願いベース」で伝えるのがおすすめです。例えば、「主治医から、”少しずつ仕事に慣らすように”と言われていて、できれば業務の調整をご相談できればと思っています」というような伝え方が良いと思います。

強い口調で、「調整してください!」「当然の配慮です!」などと伝えてしまうと、受け取る側が構えてしまい、話し合いがうまくいかないこともあります。

(3) 異動の希望は必ず通るわけではない

主治医や産業医が「職場の異動が望ましい」と書類に書いていた場合でも、実際に、異動を行うかどうかは、会社が判断することになります。

医学的なアドバイスが、必ずしもそのまま実現するとは限らないという点を理解しておくと、気持ちの整理がしやすくなります。

まとめ:一歩ずつ、自分のペースで

  • 復職直後は無理をせず、段階的に業務を戻していく
  • 本人・職場・産業医で「復職プラン」を作成し、共有しておくと安心
  • 診断書やプラン記入用紙を活用し、会社との調整をスムーズに
  • 「伝え方」の工夫で、話し合いが前向きに進む

本記事で紹介した「復職プラン用紙(職場復帰支援プラン用紙)」や「職場復帰サポートブック」は以下のリンクからダウンロードできます。ぜひ、ご活用ください。

「せっかく復職したのに、自分だけ業務量を減らしてもらって、周囲に申し訳ない」と感じる気持ちもよくわかりますが、復職してしばらくの間は「再スタートのための調整期間」です。焦らず、ゆっくりと、段階的に整えていきましょう。

皆さんの回復と復職の成功を心から応援しています。