社内の相談窓口が効果的に連携するために必要なこと

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大きな企業では、健康相談窓口の他に、キャリア相談窓口やハラスメント相談窓口などの相談窓口を持っていることがあります。しかし、それぞれの窓口は別の部門によって運営されていることが多く、情報共有や連携は、あまり行われていないようです。

健康相談窓口の利用者には、心の健康問題だけでなく、キャリアの問題やハラスメントの問題を抱えている人もいます。また、キャリア相談窓口やハラスメント相談窓口の利用者の中にも、心の健康問題を抱えている人が含まれています。それぞれの窓口で問題解決を進めていく上で、疾患の特性に応じた対応が必要となる場合もあります。こうした事例に対応するには、社内の各相談窓口の連携が必要です。

社内の窓口が効果的に連携するには、次の3つの対応が必要となります。

1. それぞれの相談窓口の仕組みをお互いに理解しておくこと

相談窓口が連携するには、お互いの仕組みを理解しておく必要があります。お互いの仕組みとは、(1) 相談窓口はどのような法律に基づいて設置されているか、(2) 従業員は、誰に、どうやって相談を申し込むのか、(3) 相談はいつ、どこで、どのように行われるのか、(4) 相談の情報はどのように管理されるのか、(5)職場での対応が必要な問題があったときに、どのような手順で職場と連携するのか、といった枠組みのことです。社内の相談窓口の機能や対応手順について理解しておくと、クライアントの問題解決の支援に役立ちます。

2. 担当者同士で定期的に話合いを行うこと

「必要になったときに相手に連絡する」という仕組みだけでは、「そのうち連絡します」という社交辞令と同じで、実際に連携するタイミングはなかなかやってきません。それぞれの窓口の担当者が定期的に集まって、顔を合わせて話をする機会を設けることが必要です。各窓口の機能、社内の対応ルール、対応事例などを話し合い、お互いを知ることで、必要な場面でうまく連携できるようになります。また、集団守秘義務の考え方についても、担当者同士で確認しておくとよいでしょう。

3. それぞれの相談窓口への紹介の手続きを定めておくこと

相談窓口が確実に連携するためには、お互いの紹介の手続きについても定めておく必要があります。(1) 本人からの相談内容、(2) 紹介先の相談窓口に依頼したい対応、(3) 紹介元の窓口での今後の対応予定など、必要事項を確実に伝達できる書類を作成しておきます。または、クライアントがいる時に、直接、紹介先の相談窓口に電話などで連絡を取り、相談の時間や場所をその場で決めてしまう方法をとると、さらに確実になります。

社内の相談窓口が連携するメリット

健康問題とキャリアの問題、健康問題とハラスメントの問題など、複数の問題を抱えているクライアントに、より適切に対応するには、社内の各相談窓口の連携が必要です。また、発達障害やパーソナリティー障害など、対応の進め方が難しい事例についても、共通の理解・方針のもとで協力して対応することができ、対応の質が向上するだけでなく、担当者のスキルアップにもつながります。また、会社としても、健康問題やハラスメントの問題に適切に対応できるようになり、リスク管理につながります。

ただし、集団守秘義務について担当者間で共通の理解が得られなかったり、自部門の都合やルールを押しつけたり、お互いに学び合う姿勢に欠けていたりすると、連携がうまく進まないこともあるので注意が必要です。