大人のための研修デザイン 第5回「集中力が続くのは15分! “アクティブ・ラーニング” のすすめ」

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これまで、研修中に眠くなったことはありませんか? 一方的に知識を伝えるだけの研修や授業を受動的学習と言います。受動的学習では15~20分程度で注意力が低下し、学習効率が落ちてしまうことが知られています。

これに対して、書く・話す・発表するなど、何らかの積極的な活動を取り入れた学習法を能動的学習(アクティブ・ラーニング)と言います。受講者の集中力を保ち、効果的な学習を行うためには、研修にアクティブ・ラーニングを取り入れることが有効です。

アクティブ・ラーニングを研修に取り入れる方法

ひとことでアクティブ・ラーニングといっても、例えば、2人で意見交換をするペア討議、数名で意見交換をするグループディスカッション、レポート発表やポスター発表、ディベート、実験、実地での体験など、さまざまな方法があります。

その中から、研修の目的や学習の目標を達成するために、最も適切なものを選ぶということが重要です。アクティブ・ラーニングを、単なる退屈しのぎや眠気覚ましとして用いるのではなく、学習の効果を高めるための手段として用いるようにします。

ペア討議を用いた研修の工夫

従来の一斉講義形式に慣れていると、参加者が主体的・積極的に活動しなければならないアクティブ・ラーニングに、戸惑いを感じる人もいるようです。

そのような場面では、ペア討議という手法を試してみるとよいでしょう。ペア討議とは、隣あった2人1組で意見交換を行う方法です。端数が出た場所では3人のグループを作るようにします。ピア・インストラクションや、ペアワークなどとも呼ばれています。

ペア討議は、研修の参加人数、部屋の大きさ、机のレイアウトなどに関わらず、どんな研修にも取り入れることができます。ぜひ、試していただければと思います。例えば、次のような構成で研修を行います。

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研修の冒頭の導入部分では、学習する内容をおおまかに紹介した後で、さっそく3~5分のペア討議を行います。ペア討議のテーマは「講義テーマについて知っていること」です。「(講義テーマに関して)ふだん困っていること」「ふだん工夫していること」などとしても良いでしょう。冒頭のペア討議の目的は、既に知っていることを頭の中で整理し、新しく学ぶ内容を理解しやすくすることです。

講義のパートでは、参加者の集中力が途切れないよう、説明の時間は10~15分にとどめます。その後で、学習内容をより深く理解するための問題を出します。参加者はまず一人で問題を解き、次にペア討議を行って、お互いの回答や考え方などについて話し合います(3~4分)。最後に、いくつかの意見を発表してもらい、全体共有などを行います。

続けて、別の内容について講義を行います。同じように10~15分の講義と、ペア討議、全体発表を組み合わせて行います。研修全体の時間にもよりますが、これを2~3回繰り返します。

研修の最後に、学んだことを振り返るペア討議を5分程度行います。学んだことを職場でどう応用するか、といったテーマで話しあってもらうとよいでしょう。

簡単にできる「3択クイズ」の工夫

もうひとつ、アクティブ・ラーニングを研修に取り入れるための簡単な方法があります。クリッカーという装置をご存じでしょうか。クリッカーとは、参加者が応答するためのリモコン装置のことです。リモコンには1、2、3、4~と番号のついたボタンがあり、参加者は問題やアンケートにあわせてボタンを押し、集計結果はすぐにパソコンの画面に表示されます。

専用のクリッカー装置が無くても、例えば、A4用紙に、1、2、3などと大きく印刷した紙を配布して、TVのクイズ番組のように掲げてもらう、という方法であれば、どんな研修でも取り入れられます。

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クリッカーを使うと、100人以上の参加者がいるような場合でも、研修中に簡単に双方向のやりとりを行えます。アンケートを実施したり、全体の理解度を確認したり、ペア討議やグループディスカッションの導入となる問題を出したりといった使い方をするとよいでしょう。

ただし、問題の難易度には注意が必要です。どんな問題を出しても、ある人には難しすぎると感じられ、別の人にはやさしすぎると感じられるものです。また、間違えると恥ずかしいからと、回答に消極的になる人もいます。

クリッカーを使うときには、研修中は間違えることが学びにつながるのだと説明し、参加者が安心して回答できるような環境を作ることが大切です。また、参加者の意見が分かれることを前提にした、いくつも答えがあるような問題を出して、その後の解説やディスカッションにつなげたりする方法もあります。


シリーズ 「大人のための研修デザイン」

参考文献