大気汚染物質PM2.5関連のニュースがTVや新聞、ネットをにぎわせています。あまり聞き慣れない「PM2.5」とはどんな物質なのか、どのような対策をとればよいのか、環境省が公表している資料をもとにまとめました。PM2.5についての基礎知識として、参考にしていただければ幸いです。
- 環境省:微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
- 環境省:微小粒子物質(PM2.5)に関する専門家会合の報告書
- 微小粒子物質(PM2.5)に関するQ&A
PM2.5とはどんな物質なのか
PM2.5とは、大気中に浮遊する、大きさが2.5μm以下の粒状の物質の総称です。PM2.5には、炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩のほか、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなど、さまざまな成分が含まれています。成分は発生源や気象条件、地域、季節により変動します。
PM2.5には、いくつかの発生原因があります。ひとつは、自動車の排ガスや工場の排煙など、物の燃焼などによって排出されるものです。さらに、硫黄酸化物、窒素酸化物、揮発性有機化合物などの大気汚染物質が大気中での化学反応により粒子化したものがあります。その他、土壌、海洋、火山などの自然起源のものや、喫煙、調理、ストーブなど家庭内から発生するものもあります。
PM2.5の健康への影響は十分にはわかっていない
PM2.5は髪の毛の太さの1/30程度と小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系の疾患や、循環器系への影響が心配されています。これまでの研究データからは、PM2.5への感受性については個人差が大きいことや、小児や高齢者には、健康影響が出やすい可能性があることがわかっています。しかし、どのくらいの濃度でどのくらいの健康影響が出るのか、まだ十分なことは分かっていません。
わが国での対策の経緯
- 大気汚染対策として排煙・排ガス規制に取り組んでおり、PM2.5の濃度は減少傾向にある
- 健康影響との関連について、平成11年度より調査を実施し、平成21年に環境基準を設定した(1年平均値 15μg/m3 以下、かつ1日平均値 35μg/m3以下)。
- 平成22年よりPM2.5濃度を常時監視・公表するシステムを構築(環境省の大気汚染物質広域監視システム・各都道府県の掲載サイト)。
- 中国の大気汚染の影響を受けて、濃度が上昇した際の注意換気について暫定指針をまとめた。
<注意喚起のための暫定的な指針(2013年2月)>
- ただちに健康影響が出るというわけではないが、1日平均値で70μg/m3を超える場合には、不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動を出来るだけ減らすよう注意喚起する。屋内においても、換気や窓の開閉を必要最小限にする。
- 呼吸器系や循環器系疾患のある人や、小児、高齢者などは、体調に応じてより慎重に行動することが望まれる。
これまでの研究結果からの暫定的な対策
- 健康な人:基準値を多少超えたからといって、すぐに重大な健康被害が出るとは考えられない。
- 注意が必要な人:呼吸器や循環器系の持病がある人、小児や高齢者は、日ごろから健康管理に気をつけ、数値が高い日はなるべく外出を控えるなどの予防策を取るのも一つの方法である。
- マスク:一般的なマスクでは、PM2.5に対する効果はさまざまである。高性能な防塵マスク(DS1規格以上のものや、N95規格のもの)を用いればPM2.5の吸入を防げるが、正しく密着させないと効果はなく、息苦しいために長時間の使用には向いていない。
- 空気清浄機:屋内のPM2.5濃度を下げる対策としては有効と思われるが、性能はさまざまであるため、購入前によく確認する必要がある。