社内で展開されているメンタルヘルス教育のおかげで、セルフケアやラインによるケアが充実してきました。上司が「いつもと違う部下」に気づき、産業医など産業保険スタッフに相談するまでの社内のルールをもう一度復習します。
数年前から「メンタルヘルス」をキーワードに様々な動きがあります。企業内のメンタルヘルス対策 を進めるには、以下の4つのケアが重要です。前回の「アサーション」や、社内イントラネットに掲載されている「うつ状態の自己点検リスト」などはセルフケアを支援するものです。
■上司によるケアが充実してきた
ラインによるケアというのは、課やチームなど現場のメンバーによるケアのことです。その中でもっとも重要なのは上司による「気づき」です。このことは当社の管理者研修にも取り入れられています。その効果か、最近では上司から産業医へ相談が寄せられるケースが増え、メンタルヘルスの不調を示すケースに早期に対処できるようになりました。
■いつもと違う部下に気づく
管理監督者(上司)は、以下に示すような部下の「いつもと違う行動」に気づくことが大切です。これらの「いつもと違う」部下に対して、上司は職務上何らかの対応をする必要があります。
■どうやって産業医につなげるのか
いつもと違う部下の行動の背景には何らかの病気が隠れていることが少なくありません。通常の労務管理をする前に、病気の有無を確認をしなくてはいけません。
しかし、この判断を上司に求めるというのは適切ではありません。そこで当社では次のようなルールを作り、病気の有無については産業医が判断をするようにしています。病気であると判断された場合は治療のラインに乗せ、病気ではないと判断されたとき、上司は通常の労務管理を行います。
この中で気をつけることは、心配だから自分が産業医に相談するということを、上司が部下にはっきり告げるという点です。例えば、次のようなやり方は行いません。
× 「部下の様子が最近おかしい。産業医から部下を呼び出して欲しい」
このような場合、産業医が本人と話をしようとしたときに「先生はどうしてそんなことを知っているのですか」と反論され、うまく対応できなくなることがあります。また、面談の結果を上司に報告することも難しくなります。必ず上司の指示で産業医面談につなげるようにしてください。
この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。