職場のメンタルヘルス対策について発表しました

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8月〜9月と、社外の勉強会で「職場のメンタルヘルス対策」についてお話をさせていただきました。ふだん考えていることを、人前で発表できるようにまとめたりプレゼンしたりすることはあまり無いので、このような機会をいただきとても感謝しています(いつか来る本番に備えたよい練習になります ^^;)。

さて、今回は「職場のメンタルヘルス事例の問題点」「病気と業務パフォーマンスの低下」「うつ病の症状と治療」「早期発見と早期対応のコツ」「メンタルヘルス不調を予防するための職場改善」「職場のストレス要因」「特にコミュニケーションの重要性」について、グループワークを交えながら説明してきました。グループワークでは活発に意見交換が行われ、事例への対応や職場改善の取り組みなど、たくさんのヒントが得られました。

しかし、こうした集合研修では一般論を中心に説明が進んでいくため、「実際に職場で困っている複雑な事例」に対する適切な答えを得るのは難しいようです。回復を妨げる要因、回復を促す要因、職場で困っていること、本人が困っていること、職場で工夫して欲しいこと、今後の見通しなど、それぞれの事例ですべて異なります。本人、上司、人事、産業医などの関係者が、個別のケースごとに話し合いを持つことが必要だと思います。

このような機会を与えてくださった事務局の皆さんと、グループワークで活発に議論していただいた参加者の皆さんに、改めてお礼を申し上げます。

参加者の感想(アンケートより)

  • 職場復帰してきた部下への対応に悩んでいます。グループワークでは、さまざまな職場の話を聞けて参考になりました。
  • パフォーマンスの低い部下がいて対応に悩んでいました。今までは、忙しさにかまけて、対話を避けていたように思います。少しずつ本人と話をしていこうと感じました。
  • 教育の現場では、組織のマネジメントがうまく行われているとは言えず、メンタルヘルスの問題も多いようです。どうすれば改善できるのか、参加者から色々なお話をきけて参考になりました。
  • 今まで自分が取り組んできたことの再確認ができました。常にうまく対応できているわけではありませんが、方向性が間違っていなかったと知って、自分自身のモチベーションにもつながりました。

「職場の相互支援」を促す職場改善のアイディア(実習より)

  • 部下と2週間に1度、定期的に個別に面談をする。
  • 定期的に5分間の昼礼を行い、ひとりずつ順番にミニスピーチをさせる。
  • 直属の上司だけでなく、その上の上司やメンターなど、たくさんの相談相手・相談経路を作っておく。
  • パーティションを下げる。お互いの顔が見えるレイアウトにする。
  • プロジェクトの合宿や、合同の研修などを行う。
  • 同僚の仕事の状況をふだんから共有しておき、有休を計画的に取れるよう調整しやすくする。

質疑応答(実習、アンケートより)

Q: うつ病の治療には、お薬による治療と、心理療法やカウンセリングによる治療があると聞きました。それぞれどのような効き目があり、どのような事例で効果的なのですか。

A: 病院で行われている専門的な心理療法については詳しくないのでお答えできませんが、「休息」と「薬」の2本立ての治療は、まずたいていの事例に効き目があります。しかし、それだけではすっきり治らないこともあります。その場合には、本人の仕事に対する考え方、仕事の進め方、他者とのコミュニケーションのやり方など、回復を妨げている要因は何かを探り、その解決にむけて本人の気づきや変化を促すカウンセリング的なアプローチが必要です。

Q: うつ病の発症について、会社の責任と、個人の責任と、どう考えればよいのでしょうか。

A: 家庭の要因だけが原因でうつ病になるケースもありますが、職場や家庭のいくつかの出来事が重なって調子を崩すケースも多く、一概には言えません。また、ストレスの多い職場環境があったとしても、病気になる人とならない人がおり、発病には個人的な要因が大いに関係しています。ただし、会社が適切な対応をとっていない場合には、安全配慮義務違反を問われます。

Q: 病気になると業務パフォーマンスが落ちるというのは理解できましたが、職場での配慮をどのくらいの期間続ければよいのでしょうか。また、病気を理由に退職するケースもありますが、どのように考えればよいのですか。

A: そもそも雇用とは「労働を提供する代わりに賃金をもらう」という労働契約の上に成り立ちます。労働を提供できなくなれば契約を終了するわけです。しかし、病気になった途端に契約を打ち切るのではなく、治療のため一定の猶予期間を与えることになっています(期間は会社によっても異なります)。猶予期間を過ぎても体調が回復せず、業務パフォーマンスが雇用の最低ラインを下回る場合には、労働契約の打ち切りということもあり得ます。