週刊ファミ通に『アイスウィンド・サーガ』の広告が掲載される

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え~、本日発売のゲーム情報誌『週刊ファミ通』の 79 ページあたりにですね、僕がイラストを描いた広告が掲載されております。ええと『アイスウィンド・サーガ』と『ドラゴンランス伝説』という小説の新刊です。いやあ、なんていうか、うれしいけれど、照れますね~。2 冊も買っちゃいましたよ、ファミ通。

どうして広告を描くことになったか

1年ほど前、同シリーズの小説、『ダークエルフ物語』の感想の絵日記を公開したのですが (その 1その 2) 、それをたまたま見かけたアスキーの担当編集者さんが、「よし、今回はこれでいこうっ!」と思ったとか思わなかったとか。

その編集者さんからメールをいただいたのが 8 月の中旬。正直なところ、最初は「アスキーの名をかたった悪い人にだまされているんじゃないか !?」と半信半疑でした。だって、もっとうまい絵を描くひとはいくらでもいるのに、このサイトを見てイラストの仕事を依頼してくるなんて、ねぇ! にわかには信じられません。

全身タイツの編集者さん

と、不審に思いながら、念のため差出人の名前で WEB 検索を行ったところ、何やら変な記事が引っかかってきました……。記事の横には、全身タイツを着た本人らしき写真が掲載されています。普通の人が見たら「何だこりゃ、怪しい!!」と思うかもしれませんが、奇妙な格好をさせられた編集者が紙面に露出するというのは、昔からのアスキーのお家芸。奇しくも、その全身タイツ写真のおかげで、僕は大いに安心したというわけです。

最初にいただいたメールでは「今後、広告のイラストなどで協力していただくことは可能でしょうか」という感じだったので、「これも経験のひとつ~♪」と、気軽に引き受けたのですが、OK の返事を出したとたん、「それでは週刊アスキーと週刊ファミ通にのせるカラー広告 1 ページと、書店に配布する POP を 1 枚お願いしたいのです」と、急に具体的な話になってびっくり。「締め切りは 8 月 30 日です」って、あと 2 週間もないじゃんかっ!!

読んでハマって気がつくと午前 2 時

広告はおろか、イラストのお仕事そのものが初めてだし、何をどう描いていいのかまったくわかりません。 それに、この小説、実はまだ読んだことがないんですよね (ずっと絶版で、今回めでたく復刊することになったのです)。おずおずと、控えめに、そう申し出たところ、印刷前の原稿を送って頂けることになりました。

翌日、アスキーから速達で送られてきた封筒の中には A4 用紙にプリントアウトされた原稿の束が。一応、小説のレイアウトになっていて、ホッチキスで綴じられていますが、これはかなり読みづらそうだなあ……。ソファにもたれながら、少しだけのつもりで読み始めたところ、なんと、これが!! おもしろい!! 途中でやめられなくなって、そのまま一気に読み終えてしまいました。

まるいひとの出演許可を頂く

小説には大満足したのですが、広告と POP をどのように描けばいいのか、大きな問題が残っていました。紙面の内容からレイアウトまで、1 ページまるまる僕の手にゆだねられているのですから責任は重大です。編集者からは「この作品が好きだという愛にあふれた感じで」と指示 (?) を受けていますが、いまひとつ方向性が定まりません。そこで、いくつかラフを描いた上で、編集者にお会いして、広告の意図をたずねてみることにしました (東京に引っ越してきてよかった! と思った瞬間です)。

ある日の夕方、JR 信濃町駅の駅ビルにあるアスキーの会議室で編集者さんとお会いしてきました。彼が言うには、色鮮やかな広告があふれるこの時代、ちょっとシャレたコピーや売り文句を考えたところで、なかなか読者の心には届かない。むしろ、その作品を本当に好きで自分もハマっている人が発する、素朴で個人的なメッセージのほうが共感を得やすい。だから、既存の広告の文法やフォーマットにとらわれず、WEB の日記そのままのスタイルで「自分はこんなにハマっちゃったんです」とアピールして欲しい、とのこと。

いくつか提示したラフの中でも、絵日記風のものが一番よかったみたいです。その上で、「”大好評” だとか “オススメ!” だとか “本格派” なんていう売り文句は一切必要ありません」と何度も念を押されました。「サイトの絵日記そのままでいいんですね?」 「かまいません」 「この “まるい人” を描いていいんですね?」 「ええ、ぜひ大きく描いてください」…というやりとりから生まれたのが、この広告です。どうでしょうか。隣のページの『鋼の錬金術師』にも負けないインパクトでしょ (笑)。

日本初 (?) の準公式イラスト (?)

光栄なことに、書籍の表紙を除けば、僕の描いたこの広告が「日本で初めて公式に発表されたイラスト」になったわけです。特に、主人公のひとりであるドリッズトは、ダークエルフでありながら “良心” を持っているため、故郷の社会を追われて地上に出てきたという複雑な経歴の持ち主。熱烈なファンも多く、もちろん僕もそのひとりです。彼をどのように描くのか、難しい問題でした。

日本のイラストや漫画では、ダークエルフはおおむね美形に描かれることが多いのですが、外国人の美的センスは日本人のそれとは大きな違いがあるようで、海外の作品を見ると実に容赦のない描かれっぷりです。今回は、それら海外のイラストを参考にして、小説の設定をできるだけ取り入れながら、新旧のファンに納得して頂けるような、そんな線を狙ってみました……てか、僕のイメージで描きました (笑)。

ひそかに狙う大ブーム

この広告を見た全国の読者ちゃんたちが、『アイスウィンド・サーガ』に興味を持って、書店は押すな押すなの大にぎわい、どこぞのティーン・エイジャーの魔法使いの人気を追い超して、ついにはハリウッドで映画化されるような大ブームにならないかなあと、密かに期待しています。『アイスウィンド・サーガ』シリーズは全 9 巻で刊行される予定ですが、僕が広告を担当するのはとりあえず今回だけ。次の広告ではまた違った戦略を練るそうですから、とても楽しみです。2 巻の発売も間もなくだそうです。

来週発売される週刊アスキーにもこの広告が掲載されます。書店の POP もそのうち見られると思いますので、もし見かけたら、ぜひ (小説のほうを) 手にとって、そのままレジに向かってくださるよう、お願い申し上げます。

参考リンク

ELECTRIC DOC. – ダークエルフに生まれなくて本当によかった
ELECTRIC DOC. – 『ダークエルフ物語』 読了 !!

Amazon.co.jp:『アイスウィンド・サーガ〈1〉 悪魔の水晶』
Amazon.co.jp: 『ドラゴンランス伝説〈4〉 レオルクスの英雄』