アメリカの田舎で生まれ育ったビバリー (ドリュー・バリモア) の夢はニューヨークでで作家になることだった。しかし15歳で妊娠してしまい結婚、出産。子育てをしつつ大学入学を目指すが、ダメ夫レイが原因で彼女の人生は大きく狂ってしまう…。ビバリー・ドノフリオ原作の自伝小説を『チャーリーズ・エンジェル』のドリュー・バリモアを迎えて映画化した作品。(2002年、アメリカ)
『チャーリーズエンジェルズのドリュー・バリモア」が主演しているというので、元気で明るくて前向きなオンナノコ映画だろうと思っていたら、実はとってもシリアスなお話だった。望まない妊娠、結婚、出産。人生の目標が大きく狂ってしまう主人公。それでも夢をあきらめず一途に努力するのだが、ヤク中の夫、貧しい生活など、現実はそう甘くはない。
絵に描いたような幸せも、絵に描いたような不幸も無い。映画らしい派手なシーンは無く、ただ淡々と現実を描写していく。実話を元にしたストーリーだと知ったのは本編を見た後のことだ。登場人物はみんな不幸な現実を背負っているが、誰ひとりとして悪人はおらず、それが救いになっているのかもしれない。晴れ晴れした気持ちにも、爽快な気持ちにもならなかったが、見終わった後、「いいお話だったなぁ」と満足することができた。
メイキングを見ると、このお話の主人公である原作者本人が制作に深く関わっていることがわかる。主演のドリューも実生活で家庭問題を抱えており、子役スターの例に漏れず波乱に満ちた人生を送っている。また監督のベニー・マーシャルも 18 歳で母親になった経験をもつという。実体験から生まれた一生懸命な気持ちがそのまま映画に現われているから、共感をよべる作品になったのかも。