残り1ヶ月半の花粉症対策

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そろそろ桜の開花時期が近づき、いよいよ春の到来といったところですが、花粉症の皆様、いかがお過ごしでしょうか。今年は例年の2~3倍、昨年と比べると20~30倍もの花粉が飛び交っていると言われています。かくいう私もひどい花粉症に悩まされており、毎年この時期は大変な思いをしています。

●花粉の多い日、少ない日

春の花粉症は主にスギとヒノキの花粉によるもので、2月上旬から5月中旬まで症状が現れます。晴れた暖かい日、風の強い日は花粉が多くなります。また、雨の日は花粉が少なく過ごしやすいのですが、雨の日の翌日は、アスファルトやコンクリートの上に落ちた花粉が舞い上がるため、花粉の量は普段より多くなります。

●花粉症の治療

花粉症の治療は、アレルギーを抑える飲み薬を中心に、眼の症状には目薬を、鼻の症状には点鼻薬を使います。飲み薬は花粉の飛散がはじまる2~4週間前、1月中旬から2月の上旬からはじめます。症状の強さに応じて薬が使い分けられます。薬を使っても症状が治まらない場合は、早めに病院を受診して処方の調節を受けると楽になります。

●花粉を家の中に入れない

この季節、窓を開けるのは最小限にします。洗濯物はなるべく室内干しにし、布団も布団乾燥機を使います。こまめに掃除機をかけて花粉やホコリを除去します。家に入る前には衣服についた花粉をはたいて落とし、家に入ったらまず洗顔とうがいをします。ここまで徹底すると、家の中は花粉がきわめて少ない「楽園」となるでしょう。

●花粉が「非常に多い」ってどのくらい?

都市部の花粉飛散量は、よく晴れた日では700~900個/cm2と多く、雨の日などは10~100個/cm2と少なくなります。花粉情報の表示の基準は「1~9個=少ない、10~29個=やや多い、30~49個=多い、50個以上=非常に多い」です。通りで「非常に多い」日が続くわけですね。ちなみに、症状が出現するのは20個以上といわれており、花粉の飛散がピークを迎える日は1500個を超えることもあります。

●花粉を寄せ付けない

花粉から我が身を守るためにマスクとメガネは必需品です。どのマスクでも、値段や種類に関係なく、90%以上の花粉を除去します。さらに、普通のメガネでも40%程度、花粉症専用のメガネだと70%~80%の花粉をシャットアウトします。例えば、マスクとメガネで85%の花粉が減少すると考えれば、晴れた日の花粉は800個→120個、少ない日だと80個→12個まで減少する計算になります。

●マスクとメガネ

この時期にマスクをつけている人を見るのも、最近では珍しくなくなりました。しかし、「マスクはいいけど、メガネはちょっと……」と、防護メガネに抵抗感を持つ人は多いようです。確かに、以前はまるで水中メガネのような形をしていましたが、最近では目立たないデザインのものも増えてきました。それに、マスクをつけている時点でファッション的にはアウトですから、その上にメガネをかけようがかけまいが、あまり関係ない、という意見もあります。

●花粉症は自然に治るのか

花粉症の歴史は浅く、長期的な経過についてはまだ研究が続けられていますが、残念なことに自然に治るのは約2~5%程度に過ぎないという報告があります。現在の花粉症治療は対症療法が中心ですが、アレルギー体質そのものを治療して長期的な効果を期待できる「減感作療法」(げんかんさりょうほう)という治療法もあります。しかし、減感作療法を行うには2~3年という長期間にわたって毎週1~2回の注射を続ける必要があり、誰にでも勧められるものではありません。治療薬の改良が進めば通院回数や治療期間が激減し、将来の有力な治療法になると期待されています。

(この記事は、私が専属産業医として勤務している会社で、全社員に向けて毎週配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。)