五月病は九月まで長引く?

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みなさん、ゴールデンウィークはいかがでしたか。大型連休が明けると、いわゆる「五月病」のシーズンがやってきます。五月病とは、入社や配置転換などで新しい環境に飛び込んだ人に襲いかかる、無気力感、空虚感、イライラ、不眠、抑うつなどの症状のことです。ひどい時はうつ病に発展することもあります。

五月病の原因は、新しい環境に適応しようとがんばりすぎて疲れがたまること、期待していた理想像と現実のギャップを突きつけられて悩むこと、入試や入社などの緊張感から解放されることなどと関係があります。また五月病は本人の健康上の問題というだけではなく、働く意欲や労働力を低下させ、周囲の負担を増やすなど、職場にもさまざまな悪影響を及ぼします。

先月行われた産業衛生学会で、五月病に関する面白い研究結果が発表されました。就職の決まった大学生を対象に、就職前、6月、9月の計3回、メンタルヘルスなどの調査を行ったところ、6月にメンタルヘルスが悪化すると、9月の時点でもその影響が続いていることが分かったのです。つまり「五月病は一過性のものではなく、長期にわたって悪影響が続く」のです。たかが五月病と甘く見ていると、慢性的な職場不適応やモチベーションの低下を招くおそれがあります。

では、五月病を予防するにはどうすればよいのでしょうか。この研究では「職場のサポート」に注目しています。職場のサポートには、仕事のやり方を教えたり手助けしたりという業務上のサポートと、いっしょに会話をしたり食事をしたりという社会的なサポートの2種類があります。この2つのサポートによって「自分は職場の一員として迎えられている」という充足感が生まれ、メンタルヘルスの低下を防ぐことができます。

職場のサポートは主に会話によるコミュニケーションによって行われます。サポートを与える側だけではなく、サポートを受ける側にもコミュニケーションの能力が求められます。五月病対策としては、一般的なメンタルヘルス・ケアと同様に、上司による「気づき」や「声かけ」が特に重要です。「五月病」の症状が深刻な場合には、早めに産業医や外部の医療機関に相談してください。

この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。