メンタルヘルス不調の職場復帰支援:復職可否の判断と復職プラン作り

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先日、霞ヶ関にて、企業の人事労務担当者を対象に、メンタルヘルス不調の復職支援についてお話をさせていただきました。

どの企業でも、復職支援のための社内制度や手続きを定めているものの、実際にはなかなかうまく対応できず困っているそうです。研修に参加してくださった方からは、特に「生活記録表を用いた復職可否の判定」と「復職後6か月間の業務計画作り」が役に立ちそうだというご意見をいただきました。

生活記録表を用いた復職可否の判定

担当者の皆さんが一番困っていることは「主治医から復職可の診断書が出たけれど、本当に復職させて大丈夫だろうか」ということでした。

メンタルヘルス不調で休業している従業員を、十分に回復していないうちから復職させてしまうと、症状がぶり返して再休職してしまうリスクがあります。また、主治医の診断書は「本人の希望もあって、少し早めに提出される」ことがあるため、本当に復職させても大丈夫かと判断に迷うことが多いようです。

そこで「生活記録表」を用いて復職の可否を判断する方法を紹介しました。生活記録表とは、睡眠や外出などの生活リズムに着目して復職の可否を判断するためのツールです。

生活記録表を使うときには、以下のような基準を事前に定めておき、ご本人にも伝えた上で復職支援を行います。

  • いつもの時間に就寝し、平日は会社に間に合う時間に起床できている。寝不足もない。
  • 平日は、出社と同じような外出(9時〜15時まで図書館で過ごすなど)ができている。
  • 上記のような生活が、月〜金曜日まで週5日、少なくとも2週間以上は続けられている。

これらすべての条件を満たすと復職できますが、そうでないときには、主治医から復職可能の診断書が発行されていても、基準を満たせるようになるまで復職の準備を続けます。

生活記録表の詳しい使い方については、以下の動画や、復職支援のマニュアル参考書籍などをご覧ください。

復職後6か月間の業務計画づくり

もうひとつ、企業の担当者は「復職後にどのような業務調整を行えばよいのか」ということでお困りのようでした。メンタルヘルス不調の場合、復職時には「段階的に、少しずつ業務を調整する」のが一般的です。しかし、実際にどのような調整を、いつまで実施すればよいか、具体的なことがわからないため、現場まかせになってしまうことが多いそうです。

復職時の業務調整については「6ヶ月間」などと、あらかじめ期間を決めておくとよいでしょう。「3〜6ヶ月の範囲で適宜調整する」などとしてしまうと、実際の場面では判断に迷うこともあるためです。

6か月間は、少しずつ業務の量や範囲を増やしながら、段階的に負荷の調整を行います。階段を一段ずつ登っていくようなイメージです。

その際、何ヶ月目でどのような業務を行わせるのかという計画書を作成しておくようにします。復職プランを文書化することで、関係者の意思統一もはかりやすくなります。また本人にも、今後の業務計画を具体的に説明できますので、「復職後、仕事にちゃんと戻れるのか」「無理なく仕事に戻れるだろうか」という不安を軽減するのに役立ちます。

また、こうした復職プランを社内で保管していくことで、「あそこの部署ではこういう調整がうまくいく」「この職種だとこうすればよい」というような、独自のノウハウを蓄積できます。最初のうちは、6ヶ月間の業務の調整に苦労するかもしれませんが、ノウハウが蓄積されていくと、社内の対応も少しずつスムーズになっていきます。

復職プランを作る時には、復職後に体調がどのように回復していくか、また、どのような時期にはどんな仕事が適しているかを理解しておくと役立ちます。以下の動画を参考にしてください。

復職支援をスムーズに進めるために

メンタルヘルス不調の復職支援の取り組みをスムーズに進めるためには、「復職を認める or 認めない」という対立的な構図になるのではなく、ご本人と一緒に、復職に向けて少しずつ取り組んでいくというかたちになることが望ましいと思います。

参考資料

  1. 書籍「現場対応型 メンタルヘルス不調者 復職支援マニュアル」
  2. 復職支援マニュアル
  3. YouTube解説動画