組織のヒューマンプロセスに着目した管理職向け研修を実施しました

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2016年はストレスチェックが法制化された最初の年ということで、愛知県の企業から、ストレスチェックの結果を踏まえて、組織をより効率的にマネジメントするためのヒントとなる研修をして欲しいという依頼があり、「組織のヒューマンプロセスとリーダーシップ 〜ストレスチェックの結果を組織運営に活かす〜」というタイトルでお話をしてきました。

組織のヒューマンプロセスとは

マネジャーやリーダーの、もっとも基本的な役割のひとつは「組織が効率的に機能できるようにマネジメントすること」です。つまり「よい職場環境を作り、従業員に効果的が効果的に働けるようにすること」が、マネジャーやリーダーの仕事なのです。

そのためには、職場の中のいろいろな問題や課題を解決する必要があります。しかし、そうした問題解決を行うときに、「目に見えている部分」だけを相手にしていてはうまくいかないことがわかっています。「目に見えている部分」の背後にある、「目に見えない部分」をおろそかにしていては、根本的な問題解決ができないのです。

この「目に見えない部分」のことをヒューマンプロセスと呼びます。ヒューマンプロセスとは、目に見えている問題の背後で、チームのメンバーがどのようなことを考えているか、どんなことを感じているか、どんなふうにコミュニケーションを取っているか、お互いにどんな影響を与えているか、仕事に関することはどのように決められているか、仕事はどんな手順で行われているか、どんなふうに仕事に関わっているか、リーダーシップがどのように発揮されているか、チーム内の暗黙のルールや習慣がどのように影響しているか、というようなことに関連するものです。

例:リーダーシップを取るのが苦手な社員

たとえば、ある部署で「引っ込み思案な部下がいて、自分の意見を述べたり,率先してみんなを率いるのが苦手。でも、そろそろリーダーシップを身につけさせなければならないと、あるプロジェクトのとりまとめ役をアサインしたものの、なかなか自分から積極的に動けない」という問題があったとします。

上司がいくら「自分で考えてごらん」「自分で決めてもいいんだよ」と指示をしても、なかなか問題は解決しません。もしかして部下にやる気が無いのではないかとか、プロジェクトマネジメントの知識を学ばせた方がよいのではと、上司はいろいろと悩んでいるのですが、なかなか部下の行動は変わりません。

こんな時は、目の前の問題の背後で、つまり、組織のヒューマンプロセスで何が起きているのかを考えてみましょう。もしかして、その部下は「失敗すると怒られるに違いない」「自分で何か決めるといつも失敗してしまう」「こんなこともわからないのかと、あきれられてしまう」と考えており、不安や恐れの気持ちが強いのかもしれません。

また、周囲のメンバーも「上司がその人にやらせようとしているのだから、手助けしたくても、手助けしにくい」と感じているかもしれません。もしそうだとしたら、上司からの励ましは、本人にとってはプレッシャーになるばかりで、かえって不安や緊張を高めているかもしれませんし、ますます周囲からの手助けを得にくくしている可能性もあります。

そんなとき、部下が効果的に働けるようにするためには、どうすればよいのでしょうか。少なくとも、これまでとは別のアプローチが必要になってきます。「何かがうまくいかないとき」には、目の前に見えている問題だけでなく、組織のヒューマンプロセスにどんな問題が起きているのかを考えてみるとよいでしょう。もちろん、ただ単に部下の気持ちを想像するだけではなく、その部下や、周囲のメンバーから話を聴いてみることが大切です。

マネジメントが機能するかは「部下がどう感じるか」で決まる

また、今回の研修では、上司のマネジメントがどのように機能するかは、「上司がどんなつもりで行動しているか」ではなく、「上司の行動に対して、部下がどのように感じているか」によって決まってくる、ということを説明しました。

例えば、先ほどの事例のように、上司が「部下の育成」を目指して、「あえて自分で考えさせよう」と思っていたとします。その思いが部下に伝わっており「成長のためのチャンスを与えられた。困ったときにはいつでも相談できる」と部下が感じていると、部下のモチベーションも高まり、業務に対しても積極的に取り組めるようになるでしょう。

しかし、上司の意図が部下にうまく伝わっていないとき、部下は「いつも無理ばかり押しつけられて、全然サポートしてくれない」と感じてしまうかもしれません。すると、部下の成長をうながすどころか、かえって自信やモチベーションを失わせてしまうおそれもあります。

組織のヒューマンプロセスにヒントがある

働きやすい職場作りのためにも、組織の目標達成のためにも、また、人材育成のためにも、部下が日頃、どのようなことを感じながら仕事をしているかという、組織のヒューマンプロセスに意識を向けることが大切なのです。

参考文献(いずれもKindle版・書籍版の両方で読めます)