大人のための研修デザイン 第2回 「“理解浸透” のための研修は失敗する」

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研修を行う目的は、知識やスキル、考え方、態度、あるいは行動や技術などを身につけてもらうことです。そうした目的を達成するために、講義、実技、ディスカッションや問題演習など、さまざまな活動を実施します。

研修の目的が達成できたかどうかを確認するためには、何らかの確認テストを行います。例えば、学校教育では、授業の前後で小テストを行ったり、宿題を出したり、定期テストを行ったりして、生徒の理解度や到達度を測定しています。

明確な到達目標と、評価基準を決めておくことが大前提

社内で行う研修も、本来は、参加者が目標を達成したかどうかを確認する必要があります。その際には、誰でも同じように評価できるよう、到達目標と評価基準を具体的に決めておかなければなりません。

到達目標と評価基準が決まると、研修にどのような学習内容を盛り込めばよいかが、だんだん明確になってきます。逆に言うと、到達目標と評価基準があいまいな研修は、目的がはっきりしない、ぼんやりした内容のものになってしまうのです。

ビジネスの現場では「理解するだけ」では不十分

社内では、よく「○○を理解すること」を目的に掲げた研修が行われます。しかし、実際には、そうした研修はあまり現場の役に立ちません。○○について知っていることと、ある状況で、適切な考え方ができて、適切な行動がとれるということは別物だからです。

たとえば、長時間労働は健康に良くないと理解することと、実際に仕事が忙しいときに、長時間労働にならないような工夫ができることは、全く別のことです。もうひとつ例を挙げると、ハラスメントは良くないと理解することと、ハラスメントに発展しないよう、注意して適切に行動できることは、まったく別の目標なのです。

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具体的な行動についての目標を設定する

研修の目標を設定するときには、なるべく、具体的に、行動についての目標を立てます。そのためには、○○を理解した上で、何ができるようになればよいかを考えるようにします。また、より現実的で、職場で役立つ目標にするためには、研修参加者の上司に、職場で問題になっていることや、この研修を通じて、部下にどんな行動を取れるようになって欲しいかをヒアリングしておきます。

研修の目標が具体的になっていると、何を、どの順番で、どのように教えればよいかが明確になってきます。例えば、マニュアルを参照しながら作業することが求められている職場と、手順を暗記し、マニュアルなどを見ないで10分以内に作業を終えることが求められている職場とでは、実施する研修の内容が大きく変わってきます。

到達目標がぼんやりしている研修は失敗する

何かを理解してもらうための研修を行うこと、それ自体は悪いことではありません。しかし、何をどのように理解すればよいのか、また、理解した上で、参加者にどのような行動をとって欲しいのかという具体的な目標が明確になっていないと、研修の成果が職場で発揮されることはありません。到達目標が、行動レベルで具体的になっていない研修は、そもそも企画の段階で失敗しているも同然なのです。


シリーズ 「大人のための研修デザイン」

参考文献