攻撃的な人・受身な人のトラブルシューティング (前編)

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攻撃的なコミュニケーション・パターンを持つ人が職場にいると、周囲の人間関係をギクシャクさせてしまいます。また、受身のコミュニケーション・パターンを持つ人は、そうしたストレスを一身に受けてしまいがちです。
このような状況を改善するには、どうすればいいのでしょうか。今回は、ある職場での事例を取り上げます。攻撃的な人、受身な人、その上司、それぞれの悩みを聞いてみましょう。
 

事例

Aさんは入社3年目。今年の4月に現部署に配属されました。ところが、一緒に仕事をしているベテランのBさんが、Aさんの仕事ぶりを細かくチェックし、厳しく指摘をしてくるのです。最初はおだやかな口調なのですが、興奮してくると声がだんだん大きくなります。「こんなコトもわからないの?」「バカじゃないの?」というBさんの剣幕に、Aさんは何も言えず黙りこんでしまいます。上司のCさんは、その様子を困った顔で見ているのですが……。

Aさんの立場から

今の仕事にまだ不慣れで、ミスや不備が多いのは認めますが、あんなに細かく、昔のことまで蒸し返して、みんなの前で一方的に叱られるのには納得できません。何か言っても、その10倍くらいの勢いでどなり返されるし……。わからないことがあっても、怖くて聞けず、困っています。 最近は、Bさんのことが頭に浮かぶだけで気が滅入ります。会社に行きたくない時もあります……。上司のCさんに相談しようとしたこともあるのですが、肝心のBさんとのことは、うまく話せませんでした。結局、職場は個人のために何もしてくれないんですよね。会社を辞めようかと思うこともあります。

解説 仕事のミスを激しく責め立てるBさんの態度に怒りを感じていると同時に、ミスをしてしまった自分や、Bさんに何も言い返せない自分を情けないと思っています。何もしてくれない上司や職場への失望感もあります。このままだとストレスからうつ状態になるおそれがあります。

Bさんの立場から

Aさんは、何度も同じミスをするし、仕事も遅いし、基本的なところが何もわかってない。聞いてくれればいいのに、うじうじ悩んでいるばかりで、見ていてイライラします。つい口調がキツくなりますが、仕方ありません。 ここのところ特に忙しいのに、Aさんのせいでますます手間が増えて困っています。使えない新人じゃなくて、ベテランを補充してくれればよかったのに。Cさんは上司ですが、具体的な業務のことは何もわかっていないんです。

解説 なかなか仕事を覚えず足を引っぱるAさんや、そんなAさんを自分のセクションに配置した上司に腹を立てています。攻撃的な態度のために周囲から敬遠されていることにも、うすうす気がついていますが、「自分は絶対に悪くない。相手が100%悪いのだ。」と常に思っています。

Cさんの立場から

最近うちの部署も忙しくなってきたので、Aさんには早く戦力になって欲しい。ただ、Bさんによく叱られているようだ。最近は元気がなくて、何だか顔色も悪い。先日、Aさんから相談を受けることがあったが、具体的なことはあまり話してくれなかった。心配だが、どう声をかけたものか……。
Bさんはベテランで、仕事はよくできる。ただ、周囲に対して口調がキツい。何か言うと10倍くらい返ってくるし、意見が異なるとすぐにかんしゃくを起こすので困っている。そろそろ後輩の指導や育成ができるようになって欲しいのだが……。

解説
AさんとBさんの問題に気づいてはいますが、上司としてうまく対応できていません。具合の悪そうなAさんには、どう声をかければよいのかわかりません。また、Bさんには、もっと適切な態度でAさんを指導して欲しいのですが、どう言えば素直に聞いてもらえるのかわかりません。このままでは仕事もうまく回らないし、Aさんは病気になりそうだし、職場の雰囲気も気まずくなるし、実はとても困っています。

相手にうまく「ノー」を伝えること

攻撃的なコミュニケーション・パターンを持つBさんのことで周囲が困っているというケースです。この事例の登場人物に共通している問題点は「うまく相手にノーと言えない」ということです。

・Aさんは「そんなに激しい口調で叱らないで欲しい」と言えない。
・Bさんは、仕事のミスを指摘するとき、いつも攻撃的になってしまう。
・Cさんは「先輩として適切な態度で指導して欲しい」と言えない。

相手の気分を害さずに、あまり攻撃的にならずに、今後の人間関係にひびが入らないように、上手に「ノー」と伝えるためのポイントは、どこにあるのでしょうか。次回【アドバイス編】に続きます

(この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。)