効果的な目標の立て方、実行のコツ

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前回の記事では、目標を達成するためのポイントは「うまくできそうだという自信」、すなわち自己効力感を高めることだという話をしました。自己効力感が生じるのは、過去に似たような成功体験があるとき、ほかの人の成功体験を見聞きしたとき、人から「あなたならできる」といわれたときなどです。

自己効力感をうまく利用して目標を達成するコツは
(1) 最初の成功体験を重視すること
(2) 成功体験を積み重ねること
の2つです。

新しい目標に挑戦するとき、最初の成功体験はきわめて重要になります。「ごく短い期間で、必ず達成できる目標」からはじめましょう。最初の目標をクリアした後も、「ちょっとがんばれば7~8割がた実行できる」といった簡単な目標を積み重ねていきます。

取り組みを上手に続けるコツとして、自分にごほうびを与えることや、行動の内容を記録すること(セルフモニタリング)などは有効です。中長期的な目標に取り組むときには、短期で実現可能な目標に分解して考えます。本を参考にしたり、上司や先輩など経験者や専門家の意見を聞くのもよいでしょう。もちろん、心身の健康に関することであれば、産業医まで気軽に相談して下さい。

■例: 減量にチャレンジするとき

産業医面談の後で、健康のために減量を決意したとします。最初に立てる目標は、食事制限や運動ではなく「週末に体重計を買ってくること」です。100g単位で測定できる電子式のものがよいでしょう。家電売り場の健康コーナーに足を運び、体重計をゲットできれば目標達成です。「自分は生活習慣改善のための一歩を踏み出した」と、惜しみない拍手を送りましょう。

次の目標は「体重を朝晩に測定して記録をつけること」です。最初はうっかり忘れることもあるでしょうが、だいたい7~8割がた実行できていればマル、つまり週に2日ほどつけ忘れてもよしとします。1週間ずつに分けて、3週間ほど続けましょう。

3週間というのは、新しい習慣が身につくまでの期間といわれています。ある行動を3週間続けるとそれは習慣となり、3週間さぼるとその習慣は消えてしまいます。

ときどき忘れながらも、3週間、体重の記録を続けられれば、それは立派な「成功体験」となります。以前は体重を気にしながらも行動できなかった自分が、今や健康や体重について考える習慣を身につけ、きちんと行動しているのですから、とても意味のあることです。

その次は「ご飯の盛りを少なくしよう」、「晩酌を1日がまんしよう」、「週末には近所を歩いてみよう」など、自分の生活にあった目標を立てます。その際も「少しがんばれば7~8割がた実行できそうな目標」にしておくことが大切です。実行できたかどうかはカレンダーなどに書き込んで記録しておきましょう。また、年間で5kgの減量を目標とするより、1ヶ月に500gの減量、1週間に125gの減量という短期間の目標のほうが、効果がわかりやすくなります。

目標を少しずつクリアしていけば、次の目標をクリアするための自信につながります。行動の成果が体重計の数字に表れてきたら、次の行動にステップアップするか、あるいは現在の行動を続けることを目標にするとよいでしょう。

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この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。